×

入江聖奈、カエル関連の就職オファー来ました! らしさ全開&笑顔満開の独占インタビュー(2)

[ 2021年8月25日 05:30 ]

東京五輪ボクシング女子フェザー級で金メダルを獲得し喜ぶ入江
Photo By スポニチ

 東京五輪のボクシング女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈(20=日体大)が単独インタビューに応じた。

 ――五輪のメダリストは取材やテレビ出演で練習に集中できず、コンディションをつくれないケースが多い。

 「そういうことも考えて世界選手権をやめることにしたので。全日本ぐらいには落ち着いていると思うので、たぶん練習できると思います」

 ――鳥取県初の金メダリストになって県民栄誉賞も受賞した。

 「悪いことが起きそうで怖いんですけど(笑い)。いいことがありすぎて、このあとの人生がちょっと怖いです」

 ――これからはメダリストとしての責任がある。

 「横断歩道を赤信号で渡れないですよね。前だったら“行っちゃえ”とか思って行ってたんですけど、道路を横切ることもできないし」

 ――街中で“入江さんだ”みたいになっている?

 「スーパーへ晩ご飯を買いに行った時や、学校から帰る時に声をかけられましたし、ちょっと増えましたね。別に苦ではないですけど」

 ――目立ちたくはない。

 「目立ちたくはないですね。女子ボクシング普及のために今、頑張ってるので」

 ――並木さんが報告会で、ボクシングを始めたいと言っている子どもの話を聞いて、うれしいと話していた。

 「うれしいですね。頑張ってよかったな、と思います」

 ――自分が教えていきたいという希望は。

 「全くないです。けっこう感覚でやってるところもあるので、それを言語化しろと言われたらメチャクチャ難しいし、教えるのは自分がやるよりプレッシャーがあるので。やらないです」

 ――指導者には向いてない?

 「向いてないと思いますね。無理です(笑い)」

 ――では、どのように普及に関わる?

 「自分がテレビとかに出ることで女子ボクシングが少しでも良いイメージを持たれて、知ってもらえるならどんどん出たいです。自分が広告塔になるというか、それでボクシングを広められるならという感じです」

 ――周囲から“ボクシングをやってみたい”というような反応はありましたか?

 「ボクシングやります、みたいな反応はないですね。カエルを飼ってみます、みたいな(笑い)」

 ――メダル効果で特別にカエルを見せてもらったとか。

 「友だちとカエルを探しに行ってた時に、施設のスタッフが私を見つけて、こっちにもヒキガエルがいっぱいいるよ、と誘導してくれました」

 ――珍しいカエルがいるところ?

 「いや、ヒキガエルなんで珍しくはないんですけど、私がヒキガエルが好きなので」

 ――トノサマガエルじゃなくて?

 「ヒキガエルです。トノサマガエルは(決勝に臨んだ)作戦名なだけで。あんまり好きではないです」

 ――ヒキガエルの魅力とは。

 「語っていいですか?(笑い)あのつぶらな瞳と、ドテッとしたプリプリしたお尻と、凄くふてぶてしいところと、人間味あふれる表情です」

 ――は虫類なども好きとか?

 「いや、そんなことないです。カナヘビとかも好きですけど、やっぱりカエルが一番かわいいですね。奥深いし」

 ――奥深い?

 「カエルは種類によって、身につけている生きるすべが違うんですよね。じっと隠れて獲物を狙うカエルもいれば、空中を飛べるように発達したカエルもいるし、一生水辺で暮らすカエルもいるし、逆に木で暮らすカエルもいる。適者生存って言うんですかね。この時代を生き抜くために身につけてきたすべを。そういうことをいっぱい知ると、奥深いですね」

 ――将来はカエルの研究をやりたいとか?

 「やりたいんですけど、私、生物学を取ってないので。ちょっと無理だなと思って、それは諦めました。日体大なので勉強している分野が違いすぎて…。また大学に入り直すわけにもいかないし」

 ――引退したスポーツ選手や、現役でも大学院に進む人もいる。

 「家があんまり裕福じゃないので。早く恩返ししたいので、いっぱい稼いで。社会人になろうと思います」

 ――JOC(日本オリンピック委員会)と日本ボクシング連盟の金メダル報奨金を合わせると600万円になる。

 「とりあえず貯金とか、恩返しで親や友だちに何か買おうかなと。でも5、600万円って、普通に生活していたらなくなるような気がして(笑い)。1年後、社会人になって引っ越し資金とか家具とかそろえていたら、なくなるだろうし…」

 ――女子スポーツは大学卒業後の受け皿が少なく、続けていくのが難しい。

 「難しいですね。ボクシングを続けるなら自衛隊に行くぐらいしかなくて」

 ――大学で競技を終えるというのは、そういう事情もある?

 「いや、単純にあと3年も練習するのは無理と思って。けっこう追い込んできたので。(東京)五輪までと思って頑張っていたので」

 ――五輪を区切りに辞めようとは思わなかった?

 「特待生として日体大に入っているので、五輪が終わったから辞めますとは絶対に言えないし、卒業まで頑張るのが、特待生として入ってきた役目だと思うので。本当は五輪が終わってサヨナラ、が一番いいんですけど、やっぱ大学生なので、あと1年頑張らないとという感じです」

 ――大学の勉強は大丈夫ですか。

 「はい、今のところフル単(位)なので。まだ3年前期の成績は出てないですけど、1、2年はバッチリでした」

 ――残りの大学生活をエンジョイしたい気持ちはありますか?

 「そうですねえ。大学生活をエンジョイかあ。まあ、また同期と部活して、帰りにご飯へ行けるいつもの日常になれたらいいですけど、やっぱりコロナなので。周りの目も気にしないといけないですし、しばらく静かに暮らしていようと思います、はい」

 ――1年生の時はエンジョイできた?

 「はい、歌舞伎町も行きました。楽しかったですね。ゲームセンターとか行きました…ホストクラブとかは行ってないですよ?」

 ――大人の遊びをしたのかと。

 「違います(笑い)。普通に遊んだだけです。歌舞伎町の人通りが多いところにいて、これが東京だなあって思って」

 ――卒業後は地元へ戻らない?

 「関東で就職したいなって思ってます」

 ――既にオファーが来てないですか。

 「ありがたいことに来ましたね。カエル関連やゲーム関連から」

 ――カエル関連!?

 「はい。両生類の動物園みたいなのがあるんですけど。あとは、は虫類や両生類ショップで飼育や販売をしませんか、とか」

 ――ゲーム関連も?

 「来ました」

 ――試合後の会見で希望を口にしたのが…。

 「メディアを通じて就活するつもりはなかったんですけど、ポロっと言っちゃった感じが…ラッキーと思いました。金メダルって凄いですよね」

 ――金メダルの実際の感触は?

 「ずっと付けていると首がしんどいです。重たいですけど、もらった時のことをあまり覚えてなくて。君が代を聞いた時に、あ、世界一かという感じだったので。気づいたら表彰台の前だったので、判定の瞬間にもっとかみしめておけばよかったと思ったんですけど、本当に興奮して何も覚えてなくて」

 ――ここまでの道のりは山あり谷ありか、それとも割とスムーズだったのか。

 「ボクシングが楽しくない時期も少しありましたけど、それ以外は順風満帆って感じです。でも順風満帆すぎて、絶対にこうなる(急降下の手真似)と思うんですよね」

 ――そうならないように。

 「はい。つつましく生きます(笑い)。ボクシングはレベルアップを目指しますけど、調子に乗らないように、謙虚に静かに生きていこうと思います」

 ――こんな金メダリストも珍しい。

 「いや、だって、怖いじゃないですか。何かあったら」

 ――では、最後の1年で自分のボクシングを極めると。

 「そうですね。ボクシングを極めたいです」

 ――ボクシングの幅を広げたいのか、それとも自分の強みを突き詰めるのか。

 「そうですね、今の気分は強みを強化というか、広げたい感じですね。ジャブとストレートをもっと印象良く見せられるように。そのためにやっぱりボディーが必要と思うし」

 ――金メダルを取れた要因のジャブとストレートの基本はしっかり抑えると。

 「ホント、運が良かっただけです。リン(林)さんが初戦で負けたのもあったし。負けたというか、ボクシングってグー・チョキ・パーみたいなものと思うので、それがたまたま起きただけで。全然、自分が世界一強いボクサーなんて思っていないので」

 ――来年のアジア大会に林郁ティン(リン・ユーティン=台湾)が出てきて勝てるようなら、目標は達成できる?

 「はい、私、世界一と言えると思います。リンさんに勝てれば」

 ≪金メダルで少しは恩返しできた≫入江は昨年11月にスタートした明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」の支援を受けている。実は15年から同社の支援を受けており、「五輪の金メダルがまだ夢だった頃から支援していただいた。金メダルで少しは恩返しできたと思う。これからも支援にふさわしい結果を残せるように頑張りたい」と話した。

 <明治安田生命「地元アスリート応援プログラム」とは>

 明治安田生命は全国各地の個性豊かな「まち」が元気になることが日本の元気につながるとして、「地元の元気プロジェクト」を展開している。「地元アスリート応援プログラム」もその一環として、地元の若手アスリートを地域社会とともに応援することで、地域の一体感醸成や地域で育つ子どもたちの夢や地元愛を育むことへの貢献を目的としている。

 同制度を通じて、出身地や活動拠点地域など、サポートを受ける「地元」に対して貢献したいというアスリートの活動を支援する。選手が自身の紹介サイトで競技への思いや活動状況を報告する一方、クラウドファンディングなどを活用した支援金贈呈や、地元でのイベント出演を通じ、地域との連携や一体感を生み出している。

 入江の他にも、東京五輪代表のフェンシング女子フルーレの東莉央(23=明治安田生命)や陸上短距離の兒玉芽生(22=福岡大)、青山華依(18=甲南大)ら32人の選手を支援している。

続きを表示

2021年8月25日のニュース