×

京口V3!コロナ感染乗り越え米デビュー戦で5回TKO 相手が右拳痛め自滅

[ 2021年3月15日 05:30 ]

WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦   ○スーパー王者・京口紘人 TKO5回1分32秒 同級10位アクセル・アラゴン・ベガ● ( 2021年3月13日    米テキサス州ダラス )

WBAライトフライ級タイトルマッチでアクセル・アラゴン・ベガ(右)を攻める京口(Ed Mulholland/Matchroom提供・共同)
Photo By 共同

 スーパー王者・京口紘人が米デビュー戦を5回TKO勝利で飾り、3度目の防衛に成功した。5回に挑戦者アクセル・アラゴン・ベガが右拳を痛めてレフェリーストップ。新型コロナウイルス感染を乗り越え、19年10月以来、1年5カ月ぶりの試合でベルトを守った。日本人世界王者の米国での防衛成功は昨年10月の井上尚弥(大橋)に続き5人目。

 幕切れは驚くほど突然やってきた。5回、ベガの右フックが京口の左側頭部に当たった。右拳を痛めた挑戦者は苦痛に顔をゆがめてロープ際に後退。追撃した王者が右ボディーを浴びせたところでレフェリーが試合をストップ。相手の“自滅”で米デビュー戦の勝利が決まり、京口は少し照れたような笑いで喜びを表現した。

 「ホッとしました。正直言えば倒したかったけど、結果は素直に受け入れたい。アメリカのリングで勝てて良かったです」

 身長が16センチ低いベガとの戦い。2回には接近しての打ち合いとなったが、冷静に対応した。効果的に左ジャブを使って距離を取り、左右のボディーやアッパーを浴びせ続けた。4回までの採点はほぼ互角だったがボクシングのデータを扱う「COMPUBOX」社の数値では、京口は363発中91発ヒット。対するベガは236発中69発と、京口が大きく上回っていた。

 昨年は5月と11月に計画していた世界戦が流れた。特に11月は前日に自身の新型コロナウイルス感染が判明して試合が直前に中止となった。チケットの払い戻しなどで所属ジムの金銭的な損失も大きく「当時はボクシングをやめようと思った」と責任感から引退も考えた。だが、ファンの「またリングで戦っている姿を見たい」という激励を受け「引退は逃げになる」と翻意。不眠などの後遺症も乗り越え、夢だった米国のリングに立った。

 「コロナにかかって良かったとは言えないけど、応援してくれる人たちの思いを再認識できたし、成長できた部分もある。自分にとってプラスだった」

 英興行大手マッチルーム社と契約して最初の試合で米国のファンに実力をアピールする目的を果たす前に試合が終わった感は否めないものの、今後もチャンスはある。京口は「また米国の興行からオファーが来る選手になる。ビッグマッチができるように精進していきます」と飛躍を誓った。

 ◆京口 紘人(きょうぐち・ひろと)1993年(平5)11月27日生まれ、大阪府和泉市出身の27歳。3歳から空手を始め、小6でボクシング転向。大阪帝拳ジムで元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎の指導を受ける。伯太高、大商大を経て16年4月プロデビュー。17年7月にIBF世界同級王座を獲得し、国内最速のデビューから1年3カ月で世界王者に。18年大みそかにWBA世界ライトフライ級スーパー王座を獲得して2階級制覇を達成。身長1メートル62、リーチ1メートル63の右ボクサーファイター。

続きを表示

この記事のフォト

2021年3月15日のニュース