43歳が壮絶に燃え尽きた!総合44戦のベテラン朴光哲が試合後に引退を表明
RIZIN.25 スペシャルワンマッチ ●朴光哲 3R4分19秒TKO 白川陸斗○ ( 2020年11月21日 大阪城ホール )
一片の悔いもない。白川にTKO負けを喫したインタビュールーム。朴らしいシンプルな言葉で、現役引退を表明した。
「おなかいっぱいです。ありがとうございました」
決意を胸に秘めて上がったリング。総合44戦で蓄積したキャリアを14歳年下の相手にぶつけた。左ローで自分の間合いを作り、パンチを確実に合わせ、カウンターの機会を常に狙う。2Rまでは優勢。3R2分過ぎに白川の右でダウンして、完全に流れは変わった。ラスト1分で逆転を狙った右をかわされ、がら空きになった顔面に決定打を3発食らってしまう。次の瞬間、網膜に移った大阪城ホールの大天井。「終わった…」。声にならないつぶやきを口にした。
「前回の試合(8月、青井人に判定負け)で悔いしか残らなかった。きょうはいかに悔いを残さずにやるかだけ考えていた。やろうとしたことはできて、それで負けたので、もういいかな、と」
プロデビューは01年。HERO’S、パンクラスなど、日本総合格闘技界の黎明(れいめい)期から全力で駆け抜けてきた。師匠は18年に41歳で他界した山本“KID”徳郁。天国から届くねぎらいの拍手は、朴の耳に届いただろうか。
「まさか自分が、こんなキラキラしたメジャー団体で戦えるとは思っていなかった。でも、こんなおじさんが(出場枠を)一つ奪っていてはいけない」
退路を決めた男は、どこまでも潔い。「今後は青年実業家を目指して頑張ります」。真面目な顔で未来予想図を口にした後、いたずらっ子のように笑った。個性的な風貌とともに、強烈なキャラクターでインパクトを残した格闘家人生。朴光哲の名前は、ファンの心にいつまでも残り続ける。
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