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【浜田剛史の目】ロマゴン敗北 戦い方も出血も…「全てが悪循環」

[ 2017年3月20日 08:45 ]

WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦   ○同級2位シーサケット・ソールンビサイ 判定2―0 ●王者ローマン・ゴンサレス ( 2017年3月18日    米ニューヨーク・マディソンスクエアガーデン )

顔を血で染めるローマン・ゴンサレス
Photo By AP

 サウスポーに対するゴンサレスの戦い方が良くなかった。やや前屈みで右側に体を倒しながら打ちにいく体勢は、シーサケットにしてみれば左を当てやすい状況だった。また、1回のダウンはバッティングによる不運なものだったが、さらにバッティングで出血したことで心理的に追い込まれた。出血がひどくなれば試合がストップされて負傷判定に持ち込まれる恐れがあり、ダウンで2ポイント失っているぶん早めに取り返したいと無理に攻めに出てしまった。

 しかも、血が目に入って視界が狭まり距離感がつかみにくい状態では、多少打たれようが接近して戦わざるをえない。打ち合いでさらに出血が増え、見栄えも悪かった。私の採点ではゴンサレスの2ポイント勝ちだったが、打ち合いでどちらが優勢だったか決めるのが難しいラウンドでは、出血しているゴンサレスの方がダメージを受けたとジャッジに判断された可能性もある。全てが悪循環だった。

 ゴンサレスは元々、一発のパンチで倒すタイプではない。連打するうちにテンポが出てタイミングが合い、徐々に力が入ったパンチになる。ホップ・ステップ・ジャンプとリズムに乗り、相手を倒す選手だ。しかし、この日はステップの段階でパワーがあるシーサケットに打ち返されて「ジャンプ」まで行けず、ホップ・ステップを繰り返すうちに体力を消耗した。スーパーフライ級初戦だった昨年9月のクアドラス戦でも、パワーのある相手に打ち返されてリズムに乗れなかった。いずれの選手も、ゴンサレスの戦い方を研究していたように見える。フライ級まではパワーで圧倒していたが、スーパーフライ級ではパワーアップも必要で、さらに相手の研究を上回る戦い方も必要となってくる。(元WBC世界スーパーライト級王者・浜田剛史)

 ◇浜田氏の採点

ゴンサレス=8・9・10・10・10・10・9・9・10・10・9・10=114

シーサケット=10・10・9・9・9・8(減点1含む)・10・10・9・9・10・9=112

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2017年3月20日のニュース