井岡 独占手記「ベガスやマカオで強さ見せられたら、いいな」
WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦 ○同級3位・井岡一翔 判定 王者・フアンカルロス・レベコ●
(4月22日 大阪府立体育会館)
WBA世界フライ級タイトルマッチで、挑戦者の井岡一翔(26=井岡)は8度防衛していた王者のフアンカルロス・レベコ(31=アルゼンチン)を2―0の判定で下し、3階級制覇に成功した。叔父の弘樹氏(元世界2階級王者)が成し遂げられなかった一族の悲願を成就させた井岡が、スポニチに独占手記を寄せた。
【井岡一翔 独占手記】
みなさん、応援ありがとうございました。僕がボクシングを始める、きっかけになった3階級制覇を達成しました。
昨年5月のことは忘れられない。デビューから勝ち続け、勢いのままに3階級制覇に挑戦したけど、負けてしまった。どこか、何か足りないところがあったんだと思う。そこで本当にボクシングと向き合い、いろいろ考えさせられた。今、振り返れば成長できたんだと思える。負けを知らずに強くなればいいけど、僕も人間なんで。このタイトルマッチは絶対に勝って、自分で成長を実感したかったし、ずっと応援して、支えてくれた人たちにも感謝の気持ちを表したかった。
「井岡家」として6度目の3階級制覇への挑戦。物心ついたころには叔父さん(2階級制覇の元世界王者・弘樹氏)、そしてトレーナーとして付き添っていた父(一法会長)も、この大きな目標に向かって努力していた。試合の度に「叔父さんが負けるはずがない」と信じていた。だから僕なりに悔しさを感じた。最後の世界戦になった飯田覚士さんとの試合(98年4月29日・WBA世界スーパーフライ級タイトル戦)は9歳で小学4年生。少年野球で出掛けて、会場には行けなかった。帰りの車でラジオからニュースが流れ、結果を知って…。その瞬間は頭が真っ白になり、パニックと言っていいほど動揺した。でも今度はチャンスをモノにして、最後の挑戦にすることができた。
大きな壁を乗り越えて、また違う景色が見えてくるはず。チャンピオンになって、この階級でやっていく。新たな挑戦も楽しみ。ラスベガスやマカオなど海外でも日本のチャンピオンの強さを見せられたら、いいな。
海外では5月に注目の一戦がある。攻撃は最大の防御というパッキャオのスタイルは魅力的だけど、最後に差が出るのは防御。そこが1枚上のメイウェザーかなあ。楽しみだけど、最近は純粋に楽しめない。自分の考え、感覚と照らし合わせてしまうから。疲れてしまって、気軽に見られない。結果を知ってから、ゆっくり見ようかな。
26歳になると、30歳をずいぶん近く感じる。もっと満足できるようにボクシングで金字塔を打ち立てたい。だから自分で決めたことをきっちりやらないと。プライベートも含め、使える時間はすべてボクシングに使う。周りには結婚したり、子供がいる友人もいる。いいなと思うこともあるけど、今はもっと自分自身のために頑張りたい。(WBA世界フライ級チャンピオン)
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