小橋建太 武道館で引退試合 最後の雄姿へ悔いなし仕上げ

[ 2013年5月11日 06:00 ]

11日の引退試合へ向けて道場で最後のトレーニングを終えた小橋

 数々の伝説を残してきた「鉄人」プロレスラー、小橋建太(46)が11日、東京・日本武道館で行われる「引退試合」で最後のリングに立つ。10日は東京・有明のノア道場で現役最後の練習を行い、約2時間半、得意のチョップなどに磨きをかけた。腎臓がんなどに勝利した不世出のレスラーは、悔いのない仕上げで25年のレスラー人生を締めくくる。

 汗と涙が染み込んだノア道場に小橋は最後の別れを告げた。「練習の鬼」と言われた男は、タイトル戦など激闘の翌日でも早朝からこの場所で汗を流した。そんな「小橋伝説の故郷」で約2時間半の練習を終えた瞬間、万感の思いが込み上げた。「ここまで本当に早かった。四半世紀やってきて、もうプロレスラーとして肩書がなくなるわけだから寂しいよ」。決して弱音を吐かない絶対王者は、心の中で泣いた。

 最後の練習パートナーは全日本時代からの同僚、井上雅央。小橋は井上の胸板に得意のチョップを何発も打ち込んだ。がむしゃらに、そして一発一発に魂を込めて――。練習を終えた井上は「胸板が切れました。完全に戦闘モードでしたよ」と舌を巻いた。

 06年6月に腎臓がんを発症し、07年12月に奇跡の復帰を果たした。しかし、その後もケガで何度も離脱し、12年2月19日の「ALL TOGETHER」(仙台)を最後にリングから離れていた。昨年の暮れには引退を表明。1試合限りの復帰に向けても、道のりは平たんではなかった。「腎臓に負担が掛からないように体を維持するのに苦労した」。膝、首、肘、腎臓などに不安を抱え、肉体は満身創痍(そうい)。タンパク質などの摂取も制限され、体重は全盛時の120キロ台から105キロにまで落ちた。それでも、逆境の中で、やるべきことはやった。「道場には、感謝の気持ちはある。神聖な場所でもあるし、気楽に行ける場所でもあった。それが道場かな」。その表情に悔いはなかった。

 最終練習を終えると横浜市内の病院へ向かい、最終チェックを行った。「あとは本番を迎えるだけなので、いい形で迎えたい」。何度もどん底からはい上がった姿にプロレスファンのみならず、日本国民が勇気付けられた。5・11武道館。感謝のエールを送るファンの前で伝説のレスラーがこん身の逆水平を放つ。

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