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「八重樫をKOしてください」…大橋会長失言も秘密兵器あり

[ 2013年4月7日 06:00 ]

王者・五十嵐(右)と笑顔でファイティングポーズをとる八重樫

プロボクシング WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦 八重樫東―王者・五十嵐俊幸

(4月8日 東京・両国国技館)
 2階級制覇を狙う八重樫が、最終回KO勝利を狙う。トリプル世界戦の調印式が6日、都内で行われた。WBC世界フライ級王者・五十嵐に挑む元WBC世界ミニマム級王者の八重樫は、飛び級での2階級制覇に向け、特注マウスピースを用意。肉体改造も完了し、最終回KOプランへの準備が整った。7日の前日計量で、進化したフライ級ボディーを披露する。

 調印式でのハプニングにも八重樫は全く動じなかった。陣営の大橋会長が、アウトボクサーの五十嵐を打撃戦に誘うために用意した「KOを狙ってきてください」との挑発コメントを「八重樫をKOしてください」と失言。会場が笑いに包まれる中、八重樫は「びっくりしてます。まさか会長から言われるとは」と応じて笑いを誘った。

 階級を2つ上げて減量が3キロ以上も楽になった肉体的余裕もあるが、八重樫に精神的な余裕を与えているのは、対五十嵐対策の準備が完了したことが大きい。

 アマ時代の対五十嵐4戦全敗は「足を使われて判定負け」だったという。しかし、今回は身長で6・5センチ上回る1メートル66・5の相手の懐に飛び込んで打撃戦に持ち込むため、土居進フィジカルトレーナーとともに下半身を強化。「パンチをもらっても下がらない(ようになった)」と土居氏。その打ち合いをサポートするため、知り合いの六島歯科の六島聡一副院長に頼んで用意してもらったのが「フィット感が高く、下にも上にも向きやすい設計にしている」という特注マウスピースだ。
 今回は入念に型をとり以前に比べ歯との密着感がアップ。五十嵐に対しては下を向いて潜り込んだ後に上を向いて戦うことを想定し、顔の向きで噛み合わせがズレる前歯の部分は少し遊びを持たせている。約15時間をかけて製作した六島氏は「しっかり噛めていると衝撃が少なくなり、ダウン率が減る」と説明した。

 陣営は中盤から打撃戦に持ち込み、「12回にKO」のプランを立てている。大橋会長が「フライ級の体に仕上がった」と豪語する横で「気持ちのいい試合をしたい」と控えめに話した八重樫の心中は、準備完了の自信で満ちている。

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