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山中突然の世界戦 王座返上で調印式10分前に“昇格”

[ 2011年11月5日 06:00 ]

調印式を終え、ポーズをとる(左から)山中、粟生、ボスキエロ、エスキベル

WBC世界バンタム級王座決定戦12回戦

(11月6日 東京・代々木第2体育館)
 プロボクシングの世界戦調印式が4日、都内で行われ、WBCのマウリシオ・スライマン副会長が、バンタム級の指名挑戦者決定戦として行われる予定だった同級2位クリスチャン・エスキベル(24=メキシコ)―同級3位・山中慎介(29=帝拳)の試合を、王座決定戦としてタイトルマッチに認定すると発表した。試合2日前のサプライズに8連続KO中と勢いに乗る山中は興奮。スーパーフェザー級とのダブル世界戦として行われる。

 調印式の10分前にタイトルマッチ昇格を聞いた山中は「凄く興奮し、引き締まった。このベルトのためにボクシングをやってきた。必ず勝ってベルトを巻きたい」と喜びを隠さなかった。

 スライマン副会長は、王者ノニト・ドネア(フィリピン)が「10月の防衛戦前から階級変更を公言していた」と説明。ドネアの「家族の事情による多忙」で返上届は提出されていないが「オフィシャルな発言と捉えている」とWBCとして返上を前提に王座決定戦を認定した経緯を話した。

 事実、ドネア陣営は、帝拳と1階級上のスーパーバンタム級王者・西岡利晃への挑戦交渉に入っている。指名挑戦者決定戦を王座決定戦にする常識的な理由はあり、同副会長は調印式で粟生のものとは別に緑のベルトを山中の目の前に置いた。

 これこそが山中が夢見続けてきたベルトだ。97年に同じバンタム級の辰吉丈一郎がシリモンコン(タイ)を下して王座復帰した試合に興奮し、中学の卒業文集に緑のベルトを描いた。かつてこの階級に君臨した長谷川穂積(真正)は、プロ転向後の憧れの存在だった。

 「長谷川さんが失ったベルトを取り戻したい。中盤以降にKOする」。これまで「粟生に勝った最後の日本人」とアマチュア時代の実績で呼ばれてきた山中。強烈な左を武器に8連続KOの実績を積み重ねてきた男に、プロで真価を証明する舞台がやってきた。

 ◆山中 慎介(やまなか・しんすけ)1982年(昭57)10月11日、滋賀県生まれの29歳。06年1月にデビューして6回判定勝ち。10年6月に日本バンタム級王座を獲得し、今年3月に初防衛に成功した。身長1メートル70・5、リーチ1メートル74、左ボクサーファイター。

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2011年11月5日のニュース