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アゴ砕いた3連続KO防衛!西岡次はベガスだ

[ 2009年10月11日 06:00 ]

3回、イバン・エルナンデス(左)に右ジャブを放つ西岡利晃

 WBC世界スーパーバンタム級王者・西岡利晃(33=帝拳)が、米ラスベガス進出を猛アピールした。ダブル世界戦が10日、東京・代々木第2体育館で行われ、西岡は3回、打ち下ろしの左フックで挑戦者イバン・エルナンデス(26=メキシコ)のあごを破壊。戦意喪失による3回終了TKO勝ちを飾り、3度目の防衛に成功した。初防衛から3連続KOは元WBA、WBC世界スーパーフライ級王者・渡辺二郎(大阪帝拳)に並ぶ日本人2人目の快挙となった。

 確かな手応えが左拳を貫いた。3回、西岡がエルナンデスの右フックを鼻先でかわすと、打ち下ろしの左フックで相手のあごを打ち抜いた。「絶対に効いたと思ったけど相手が意外と平然としてたんで。あれ、おかしいなと思った」。しかし、感触に誤りはなかった。3回終了のインターバルで、挑戦者はあごの痛みを訴え戦意喪失。マウスピースを吐き出すこともままならず、試合後の検査で骨折が判明した。

 あっけない幕切れに「ファンの人には終わり方が不完全燃焼だったかもしれないけど」と西岡は頭を下げた。しかし、初防衛からの3連続KO勝利は、日本人では渡辺二郎(大阪帝拳)以来2人目。初防衛からに限らない3連続KO防衛も具志堅用高(協栄)、長谷川穂積(真正)を含め4人。西岡が名実ともに名王者の仲間入りを果たすKO劇だった。

 盤石の試合運びだった。2回に偶然のバッティングで1点減点されたが「相手のパンチを見切るまでに時間がかかったけど全く気にならなかった」と危なげなかった。

 10代から天才として注目を集めたが、世界タイトルは初挑戦から4度失敗。01年12月には練習中に左アキレス腱を断裂し華麗なフットワークが影を潜めた時期もあった。挫折を乗り越え32歳でようやく王座奪取した。美帆夫人(28)と愛娘・小姫ちゃん(3)の存在が励みとなった。「パパ、大好き。一緒に公園に行きたいです」。約3カ月離れ離れだった愛娘を抱き上げると、子煩悩な父の表情に戻った。

 次戦はオファーが届いているメキシコのほか、熱望する米ラスベガスで元2階級制覇王者ラファエル・マルケス(メキシコ)との対戦を視野に入れる。ファイトマネーも100万ドル(約9000万円)に届く破格の待遇が見込まれる。「強い相手との試合をファンは見たいはず。ワクワクする試合がしたい」。33歳の世界王者は夢を語る少年のように目を輝かせた。

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2009年10月11日のニュース