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興毅 敵討ちや!今夏にも内藤戦

[ 2008年1月17日 06:00 ]

08年は「初心」。笑顔で書き初めをする亀田興毅

 08年は敵討ちや!亀田3兄弟の長男・興毅(21=協栄)が16日、東京・大久保の協栄ジムで新年の初練習を公開した。恒例の書き初めで「初心」としたため、08年は「絶対、2階級制覇」と宣言。否定的だったWBC世界フライ級王者・内藤大助(33=宮田)との対戦にも、初めて前向きな姿勢を見せた。昨年10月に内藤に敗れた二男・大毅(19=協栄)の敵討ち戦が実現すれば、大きな話題を呼びそうだ。

 黙々と新春初練習をこなす興毅の熱気で、ジムの底冷えする空気も温まっていった。シャドーやサンドバッグ打ちなど約50分。08年最初の汗を流した21歳は、力強く新年の抱負を口にした。

 「今年の目標は2階級制覇。フライ級でベルトを獲る、それだけや。今年中に絶対するわ」。フライ級での世界王座奪取をまず宣言すると、WBC王者が内藤でもと聞かれ「挑戦するのが当然やろ」と続けた。

 「内藤より(前王者)ポンサクレックとやりたい」と付け加えた興毅だが、周囲が熱望していた内藤VS興毅に前向きな発言をするのは珍しい。特に、昨年10月に大毅が内藤に敗れたあとは「ベルトは2本しかないんやから、チャンスのある方にいく」と内藤の名を出すことを避けてきた。

 その興毅の心境の変化は、2階級制覇への思いの強さの表れだ。昨年1月にWBAライトフライ級王座を返上して本来のフライ級に転向。だが、WBA王者は同門の坂田健史(27)のため、同門対決を避ける国内の慣例上、断念せざるを得ない。標的はWBC王者の内藤になるが、亀田家としては内藤と対戦したくない理由がある。「亀田」の名前を踏み台にして知名度を上げ、人気者になった内藤にこれ以上、甘い汁を吸わせるわけにはいかないからだ。大毅が完敗したことで酷評してきた内藤への警戒心も高まったことも理由の1つだった。

 しかし、08年の目標を2階級制覇とする以上、避け続けるわけにはいかない。もちろん、昨年10月に「絶対に勝つ。これは国民の期待ですから」などと皮肉られた上で敗れた経緯もある。家族思いの長男の敵討ち。すべての要素が興毅を内藤戦へと向かわせている。

 興毅の復帰戦、ポンサクレックを相手に行う内藤の2度目の防衛戦は、ともに2月下旬か3月初旬に予定されている。そのため、両者の対決は早くて今夏になるが、新春恒例の書き初めで興毅は「初心」としたためた。「初心に帰る。そういう意味や」としか話さなかったが、上京前、東京までの電車賃にも事欠きながら、世界王者を夢見たころの気持ちを思い出す意味が込められている。

 「休んでいる間にいろいろ考えたことをリングで試したいわ」。バッシングを受け、半年近くのブランクをつくった間に「自分にはボクシングしかない」とあらためて感じたという。穏やかな“優等生”で08年の幕開けを飾った興毅の胸の中には、宿敵・内藤への敵討ちの思いが沸き上がってきている。

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2008年1月17日のニュース