【ラグビーW杯】なぜ?世界ランク上位5チームが準々決勝までに潰し合い 偏った組み合わせの原因とは

[ 2023年9月25日 11:42 ]

ラグビーW杯フランス大会1次リーグC組   ウェールズ40―6オーストラリア ( 2023年9月24日    リヨン )

<アイルランド・南アフリカ>南アフリカを破り、ファンの歓声に応えるアイルランドのセクストン主将(AP)
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 前回大会4位のウェールズがオーストラリアに40―6で完勝し、無傷の3連勝。1試合を残してC組2位以上が確定し、全チーム一番乗りで通算7度目の決勝トーナメント進出を決めた。

 各組上位2チームが進出する準々決勝では、C組1位がD組2位と、C組2位がD組1位と対戦する。D組は日本やイングランド、アルゼンチンを含むグループ。2大会連続の8強入りを目指す日本だが、2位通過ならウェールズと対戦する可能性が高い。

 その前日の23日には、B組で世界ランキング1位のアイルランドと、前回大会王者の南アフリカが対戦。事実上の決勝、あるいは頂上決戦とも言われた試合は、アイルランドが13―8で競り勝った。そしてB組の上位2チームは、A組の上位2チームと準々決勝を戦う。A組は開催国フランス、過去3度の優勝を誇るニュージーランドを含むグループだ。

 こうした中で再燃しているのが、組み合わせの偏り問題だ。大会開幕時の世界ランキングを見ると、A組に3位フランス、4位ニュージーランド、B組に1位アイルランド、2位南アフリカ、5位スコットランドが入っている。日本時間25日夜に更新される最新の世界ランキングでも、順位の入れ替わりはあるものの、上位5チームの顔ぶれに変化はない。上位5チームが一方の山に入って準々決勝までに潰し合うことになる。

 ではなぜ、このように偏った組み合わせになったのか。

 W杯の組分け抽選会が行われたのは、20年12月14日だった。4年に一度の大会の抽選を、実に3年も前に実施したことになる。抽選方法は過去の大会と変わらず、世界ランキング上位から4チームごとに5つのバンド(シード)に振り分け、各バンドから1チームずつピックアップしていくというものだった。

 しかも20年は新型コロナウイルスの影響で例年通りのテストマッチが実施されず、特に南アフリカや日本は1試合もできなかったことから、同年1月1日時点のランキングをバンド振り分けの参考にすることになった。このランキングは19年W杯終了時と同じ。南アフリカ、イングランド、ニュージーランド、ウェールズの大会4強が上位4位までを占めたが、5位にはその後に大躍進するアイルランド、7位に同じく躍進する開催国フランス、そして8位に日本が入っていた。1次リーグで敗退していたスコットランド、アルゼンチン、フィジーはバンド3となる9~12位だった。しかし3年もあれば、勢力図は当然のように変わる。大会直前の実態とは乖離(かいり)したバンド分けが、偏った組み合わせを生む原因となっている。

 ラグビーW杯ではこれまでも抽選会の時期があまりに早いとして、たびたび批判されてきた。15年大会の抽選が行われたのは12年12月。19年大会も17年5月に実施されている。その後に試合日程や会場を選定し、1年以上も前からチケット販売を開始することで、世界中から観戦に訪れるファンの需要を喚起するためには致し方のない面はある。一方で大会自体の魅力が薄まれば、本末転倒となる。

 今年4月にはロンドンで行われたスポーツ関連の国際会議で、国際統括団体ワールドラグビー(WR)のアラン・ギルピンCEOが、次回大会以降の改善を約束。「抽選のタイミングが原因」との問題意識を示し、開幕1年前を切ってから抽選が行われるサッカーW杯や欧州選手権を参考にする意向を示している。

 果たしてよりフェアな組み合わせ抽選と、早期のチケット販売は両立できるのか。今後はWRの手腕が問われることになる。

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