ジョセフジャパン 格下ポルトガルに勝利も苦戦、足りなかった「対話」と「対応力」

[ 2021年11月15日 05:30 ]

ラグビーリポビタンDツアー2021第2戦   日本38―25 ( 2021年11月13日    ポルトガル・コインブラ )

<日本・ポルトガル>前半、突破を図るリーチ(左)
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 世界ランキング10位の日本は同19位のポルトガルに38―25で勝利。19年W杯1次リーグ最終戦のスコットランド戦以来、2年ぶりの白星を挙げたが、終了間際まで1トライ1ゴールで逆転される6点差の苦闘を強いられるひやひやの内容だった。ペナルティーの数は格下相手にもかかわらず、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、51)就任後最多の15回と規律面の課題を克服できず。チームに暗い影を落としている。

 終了間際、FB山中の勝利を決定づけるトライを祝福した日本だが、試合を終えると再び表情は硬くなった。新型コロナの影響でW杯後のテストマッチは5試合目。前週のアイルランド戦から若手に経験を積ませる狙いもあって先発10人を入れ替えるなど割り引く材料はあったが、薄氷を踏む勝利を喜べるはずなどなかった。

 「後半にイエローを出し、ペナルティーを重ねるとチームを立て直すのは難しい」とジョセフHC。接戦を演じたオーストラリア戦、大敗したアイルランド戦のペナルティー数は13。試合のたびに課題に挙げたが、16年秋の就任後、日本協会が未発表の試合を除けばワースト記録を更新する規律の悪さだった。

 国際基準の判定に対応できなかったことは言い訳にならない。例えばハイタックルでの笛は4回。国内では大目に見られがちだが、国際試合では厳しく反則を取られる。後半開始直後には、猛然とタックルへと走ったリーチの腕が、腰をかがめた相手の首に入ってシンビン。終了間際にも14人で戦う状況となり「防げたのは何個かあった」と猛省した。

 前主将は「試合中にペナルティーのタイプがあまり分からなかった。なくそうと呼び掛けてからは少なくなった」と話すが、前半の6に対し後半は9と1・5倍増。後半17分にはゲーム主将のCTB中村の通訳として主審に呼ばれ、注意喚起を受けた。味方にも敵にもなる主審とのコミュニケーションと、試合中の修正力。2つが決定的に欠けていたことを物語る場面だった。

 21年最終戦となる20日の対戦相手は、6日にオーストラリアを破ったスコットランド。「タイトな試合を乗り越えたことはプラス」とリーチ。九死に一生を得た経験を、次の80分間に必ず生かす。

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