創価大 往路初V!箱根駅伝に新時代 4区・嶋津が区間2位で奪首、波乱演出

[ 2021年1月3日 05:30 ]

第97回東京箱根間往復大学駅伝 往路 ( 2021年1月2日    東京・大手町~神奈川・箱根町 5区間、107・5キロ )

往路優勝のゴールテープを切る創価大・三上(撮影・尾崎 有希)
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 出場4度目の創価大が5時間28分8秒で初の往路優勝を飾った。4区(20・9キロ)に起用された嶋津雄大(3年)が区間2位の激走で首位に躍り出ると、5区(20・8キロ)の三上雄太(3年)も区間2位の走りでリードを守り切った。3日午前8時スタートの復路にも力のある原富慶季や鈴木渓太主将(ともに4年)が控える。下克上の総合Vへ、快進撃は止まらない。

 誰が想像できただろうか。1万メートルの上位10人の平均タイムは21チーム中13番目で、昨年11月の全日本にも出場できなかった創価大が往路V。3強とも5強ともいわれた強豪校を追い落とし、トップでゴールテープを切った5区の三上は「4区の嶋津が1位になって差をつけてくれたので、たすきをもらう前から優勝を確信していた」と笑みを浮かべた。

 勝利を演出したのは、前回大会の10区で区間新をマークしてチームに初のシード権をもたらした4区の嶋津だ。1位の東海大に34秒差の2位でたすきを受け取ると、5・6キロ付近で東海大をかわして奪首。最後は後続に1分42秒差をつけた。チームの優勝を決定付けた嶋津は「前(の走者)が見えて、本当に気持ちが上がっちゃった。1位でたすきを渡せたことがうれしいです」と威勢よく答えた。

 暗闇で目が見えにくくなる「網膜色素変性症」という病気とも闘ってきた。夜明け前に始まる冬季の早朝練習などは集団走に加われず、ライトをつけた400メートルトラックでただ一人、走り込んだ。現在も病気は進行中。「検査で少し(病気が)進行しているかな、という感じ」と不安も抱えながらの出走だった。

 努力家でもある。昨春には大学を一時休学し、9月に復学。練習に復帰したが「ジョグの走り方を忘れているような状態。走ったら転びそうになる、ゼロからのスタートだった」と振り返る。遅れを取り戻すために単身、北海道で2週間ほど合宿を敢行。最初は10キロも走れなかったというが、月間800キロを走り込むなど努力を積み重ね、昨年10月の記録会では1万メートルの自己ベストを更新した。「もう一回初心に戻って競技に向き合えたのが今回の走りにつながった」と誇った。

 嶋津を4区に起用した榎木和貴監督(46)は「理想的な展開は3、4区で先頭争いして5区でトップに立つ。嶋津が予想外の走りでした」と苦笑いした。だが、2年連続の快走は実力の証明。チームも同様だ。ダークホースとして往路だけで終わるつもりは毛頭ない。チームのテーマは「もう一花咲か創価!」。残り109・6キロも“旋風”を巻き起こす。

 ◆嶋津 雄大(しまづ・ゆうだい)2000年(平12)3月28日生まれ、東京都町田市出身の20歳。小山ケ丘小―堺中―若葉総合高を経て、創価大。前回大会はナイキの厚底シューズが多い中でミズノのプロトタイプモデルを履いて10区区間新記録をマークしたことが話題になった。自己ベストは5000メートル14分3秒65、ハーフマラソン1時間4分16秒。1メートル70、55キロ。

 ▽創価大 東京都八王子市に本部を置く私立大。1971年に宗教法人創価学会の第3代会長だった池田大作氏によって設立された。当初は文系のみだったが、看護学部などを加え、現在は文理8学部10学科。OBにはお笑い芸人のナイツ、プロ野球ヤクルトの小川泰弘らがいる。1月2日は池田大作氏の誕生日だった。

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