荒磯親方 8日初日“超異例”春場所占う 朝乃山は右の強化を 徳勝龍は今場所もやってくれそう

[ 2020年3月8日 05:30 ]

高砂部屋で体を動かした朝乃山
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 大相撲春場所は8日、エディオンアリーナ大阪で初日を迎える。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、史上初めて無観客で開催される異例の場所。大関獲りに挑む関脇・朝乃山(26=高砂部屋)、初場所で初優勝を飾った西前頭2枚目・徳勝龍(33=木瀬部屋)を中心に、本紙評論家の荒磯親方(33=元横綱・稀勢の里)が場所を展望した。

 稽古場のような静まり返った雰囲気で行われる本場所がどのようになるか、私にも想像がつかないところがあります。技量審査場所(2011年5月)はお客さんが自由に入場できたのですが、普段とは違う人たちが升席に座っていただけでも違和感がありました。無観客はもっと雰囲気が変わるでしょう。ただ、力士がやるべきことは一緒です。集中して、やるべきことをやった人間だけが結果を残せるとみています。

 大関獲りの朝乃山のポイントとなるのは、先場所見つかった弱点をどこまで修正できているかということです。まだ右脇の甘さ、右の使い方に課題があります。右を生かすには左を使わなければいけないし、左を生かすにも右の攻めが必要です。本当に左のまわしが欲しいのであれば力学的にも右の強化が必要になってきます。

 勝負どころの見極めも必要です。何がなんでも前に出ればいいというものではなく、出どころ、待ちどころというものがあります。その判断ができれば無駄な取りこぼしはなくなります。初日は隠岐の海、2日目は徳勝龍が相手で、流れ的には悪くありません。いずれにしても序盤5日間が大事になります。

 徳勝龍は優勝した初場所のような相撲でどれだけ上位陣に通用するか。私と同じ33歳ですが、まだまだ上がっていく可能性はあります。脳に支配されて体が弱くなる人もいれば、脳が支配して強くなる人もいます。若い頃に比べて筋肉量が落ちてきているのに、ベテランの徳勝龍が勝つというのは、力を出し切ってないところを脳が開花させたということ。それができたのも経験があるからです。今場所もやってくれそうな感じがします。

 こういう場所だからこそ、白鵬、鶴竜の両横綱には期待しています。白鵬は出稽古が2日だけだったというのが気がかりですが、刺激やきっかけがあった方が燃えるタイプです。休場明けの場所ですが、いい方向に向かっていくとみています。(元横綱・稀勢の里)

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