自称「富山ビッグ3」の向翔一郎 我慢の銅メダルで東京五輪代表当確

[ 2020年2月24日 09:41 ]

柔道グランドスラム(GS)デュッセルドルフ大会最終日 ( 2020年2月23日    ドイツ・デュッセルドルフ )

男子90キロ級で3位になり、銅メダルを胸に笑顔の向翔一郎
Photo By 共同

 男子90キロ級の向翔一郎(24=ALSOK)は準々決勝で敗れたもの、その後は敗者復活戦、3位決定戦を連勝して銅メダルを獲得。昨年の世界選手権準優勝などの実績を考慮され、今月27日に初の五輪代表に選出される見通しとなった。

 日大時代の恩師である金野潤強化委員長から「凡事徹底」と何千、何万回も聞かされているにも関わらず、実に向らしい凡ミスで優勝を逃した。アゼルバイジャン選手との準々決勝、たがいに指導2で迎えた延長3分過ぎ、「待て」が掛かり畳の中央に戻る際、審判の許可を仰ぐことなく、自ら帯を解いてしまった。現行ルールでは時間稼ぎと見なされ、指導の対象となる行為。ビデオで確認され、反則負けとなる3つ目の指導が飛ぶと、思わず天を仰いだ。

 「しょうがないですね。言い訳しても、ただの負け犬の遠吠え。自分が投げれば良かった」

 男女含めた全階級で最もハイレベルで競争が激しいとされる男子90キロ級で、国際大会で結果を残し、ポテンシャルも高い向。一方で気持ちにムラッ気があり、この日のパフォーマンスも「50%の力しか出せなかった」。精神面の成長は長らくの課題だったが、気持ちを切り替えて敗者復活戦、3位決定戦を勝ちきった意味は大きい。男子日本代表の井上康生監督も準々決勝は「初歩的なミス。私の指導不足」と自分自身を責めたが、「よく我慢して戦い抜いた。世界で戦える力を付けている」と高く評価。初の五輪代表にお墨付きを与えた形だ。

 ひょうきんな性格で常に笑いを取ろうと頭をめぐらせるが、危機感をあおられる質問には「周りからどうこう言われても、絶対に(五輪に)出るつもりでいるし、出ることが目的じゃなく、優勝することが目標。今日、この中で戦って、今の日本人が自分くらいの成績を残せるかといえば、残せないと思う」と気色ばんで反論した向。かつてリオ五輪金メダリストのベイカー茉秋との比較で「上回っているのは顔」と言い、大相撲の朝乃山、NBAウィザーズの八村塁と並ぶ「富山のビッグ3」を勝手に宣言した破天荒な男は、東京五輪でも予測不可能なゴールデンストーリーを紡ぎ出す。

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