羽生、ミス連発2位「弱っちい」 宇野に逆転許すも「初めてちゃんと負けて凄いうれしい」

[ 2019年12月23日 05:30 ]

フィギュアスケート全日本選手権最終日 ( 2019年12月22日    東京・国立代々木競技場 )

男子フリー、演技を終え悔し気な表情の羽生(撮影・小海途 良幹)
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 男子フリーが行われ、14年ソチ、18年平昌五輪金メダルの羽生結弦(25=ANA)は全体3位の172・05点。合計282・77点にとどまる準優勝で、4年ぶり5度目の頂点はならなかった。平昌銀の宇野昌磨(22=トヨタ自動車)が4連覇を達成した。羽生はバンクーバー銅の高橋大輔(33=関大KFSC)と五輪メダリスト3人による最初で最後の競演を終え、来年3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)に向かう。 

 全力は尽くした。それでも、頂点には届かなかった。19年のラスト「Origin」。冒頭の4回転ループで着氷が乱れる。3回転ルッツが2回転になってリズムを失い、基礎点1・1倍となる後半のジャンプ全てで回転不足の判定となった。最後のトリプルアクセルは転倒。「最後まで死に物狂いでやった」という激動の4分を終え、悔しさを押し殺す。「今は弱っちいんで」。涙をこらえ、力なく笑った。

 NHK杯、GPファイナルと中1週間で続く3連戦のラスト。ファイナルに出場できるのは世界のトップ6だけ。厳しい連戦もトップスケーターに与えられた宿命だ。抜かりなく準備をしたが、フリーでは連続ステップが最高のレベル4でなく3となるなど影響が出た。「精神状態と肉体の状態とイメージがバラバラ、乖離(かいり)していった」。淡々と振り返った。

 4年ぶりとなる全日本の出場。初のメダリスト競演となる高橋、宇野をはじめ、日本人スケーターとの真剣勝負を心待ちにしていた。日本人に敗れるのは村上大介が優勝した14年11月のNHK杯以来。その時は直前の中国杯で中国選手と激突した影響もあり4位だった。全選手に敬意を込めたからこそ、宇野に負けたことも受け止める。羽生は「初めてちゃんと負けたので、凄いうれしいんですよね」と語り「追いかけておびやかしてやろうかな」と切磋琢磨(せっさたくま)を誓った。

 19年の最終戦。悔しさが教えてくれた、新たな課題もある。「競泳の選手は何連戦もする。そういうのに比べれば、5週間で3回しか試合していない。それくらいの体力しかない」。そして言った。「力を使って跳んじゃっている。力を抜いて自分らしい、いいジャンプを跳べるようにしなければと考え始めた」。勝利を義務づけられた五輪連覇の男は、闘志を内に向けた。

 世界選手権の切符を手にしたが、その前に2月の四大陸選手権(ソウル)を経由する。「四大陸は僕の壁。ネーサンと当たるかもしれない。今、負けてしまった昌磨という壁がある」。過去3度出場で全て2位だが「今のスケートを支えている芯」である4回転半(クワッドアクセル)を習得するステップにするために出場を希望した。激しい雨が降りしきる会場を立ち去る際、屈辱にまみれた羽生は言った。「頑張ります!」。2020年。輝きを取り戻すために。

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2019年12月23日のニュース