【坂本正秀の目】次こそ3強撃破へ鍵は「積極的休養」

[ 2019年7月12日 00:44 ]

テニス ウィンブルドン選手権第9日   錦織圭―フェデラー ( 2019年7月10日    英ロンドン・オールイングランド・クラブ )

<ウィンブルドン選手権第10日 錦織圭・フェデラー>第2セット、フォアハンドを放つ錦織圭(撮影・小海途 良幹)
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 全豪でジョコビッチ、全仏でナダル、ウィンブルドンでフェデラー。錦織は4大大会の準々決勝で3選手に敗れた。この壁を乗り越えるのは相当大変だが、錦織が今回つかんだのはどれだけ体力を残せるかというところだ。序盤戦で体力温存でき、フェデラー戦は期待を持たせる入り方だった。体力温存できれば、3強相手に相手にこれだけの勝負ができる。

 ウィンブルドンは前哨戦を欠場したが、1回戦で芝に慣れることができた。休み方もうまくなっていた。それは自信がないとできないこと。不安があったら休養日に練習をしてしまうが、大胆に休んでいた。状態が悪いのではなく、積極的な休養だ。右上腕部の痛みかと思ったが、表情がよかった。調子がいいので休みます、という印象だった。フェデラーやジョコビッチは調子がよくて自信があればしっかり休む。錦織も休み方が、かなり分かってきたように思う。

 錦織はベスト8を目指しているわけではなく、それ以上の優勝を見ている。そのために勝ち方にもこだわっているのが見えた。1~4回戦では取らなくてはいけないというところでしっかり攻撃することができていた。芝のウィンブルドンということで、より積極的になっていた。今までなら集中が切れてしまう場面もあったが、試合が終わるまで集中できていた。常々、体力勝負と言われるが、本人が一番分かっていると思う。

 今の錦織のメンタルは充実していると思う。ここまで安定してベスト8まで行っている。上がしっかり見えている。そして、下には負けない。3強の選手と対戦する時にどう体力を残すか。彼ならできるとあらためて感じた。

 これからハードコートのシーズンが始まる。錦織のストロークは世界に通用する。あのフェデラーですら嫌がっていた。本人の中ではストロークならいけると手応えがあると思う。ウィンブルドンは4回戦までサーブがよかった。ハードコートでもキープ率を維持できれば、あれだけのリターンができる。キープが簡単にいけば、リターンでプレッシャーをかけられる。さらにサーブの質を高めるのが大きな鍵。3強の1人に勝って、また日本中を驚かせてほしい。(WOWOW解説者、日本テニス協会公認S級エリートコーチ)

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2019年7月11日のニュース