【佐藤満の目】新たな“引き出し”必要な乙黒 

[ 2019年7月7日 05:45 ]

レスリング 世界選手権代表選考プレーオフ ( 2019年7月6日    埼玉・和光市総合体育館 )

樋口(左)に勝利した乙黒(右)(撮影・吉田 剛)
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 <男子フリー65キロ級○乙黒―樋口●>

 前回の対戦では完璧に対策をほどこした樋口相手に冷静さを欠いた乙黒。今回も乙黒の飛び込むタックルを樋口が封じ、途中までは完全に樋口のペースだった。だが、メディカルタイムアウトを取って気持ちを切り替えた乙黒は、試合再開直後に一瞬だけ集中力が途切れた樋口の隙をうまくついた。

 若い世界王者の乙黒はまた1つ成長する材料を得たとは思うが、まだ攻めは物足りない。得意のタックルが決まらなかったとき、すぐに相手と距離を取りリスタートしている。タックルが決まらなくても、その場面から次の攻めへの展開が欲しい。世界選手権本番でも各国選手に研究されていると思うので、新たな“引き出し”は必要だろう。

 <女子50キロ○入江―須崎●>
 入江は本来、須崎と相性のいい選手。リードを守ろうとして逆転負けを喫した前回対戦の反省をきっちり生かし、この日は最後まで攻める姿勢がみられた。タックルでポイントを奪ったあと、グラウンドでも攻め続けたことがそれを示している。

 レスリングの「攻め」と「守り」を考えると、バランスのとれた須崎に対し、入江は完全に攻撃型の選手。世界選手権でも攻めに徹することで活路を切り開いて欲しい。 (88年ソウル五輪フリー52キロ級金メダリスト、元日本男子強化委員長、専大教授)

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