初マラソンメガネの堀尾 学生初&日本人最高5位でMGC切符!

[ 2019年3月4日 05:30 ]

東京マラソン ( 2019年3月3日 )

学生初のMGC切符!日本人トップの5位でゴールする堀尾(撮影・村上 大輔)
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 初マラソンの堀尾謙介(22=中大)が2時間10分21秒で日本人トップの5位に入った。東京五輪代表選考レース「マラソン・グランド・チャンピオンシップ(MGC)」(9月15日)の出場権を、大学生で初めて手にした。雨と寒さの悪条件が影響し、日本記録保持者の大迫傑(27=ナイキ)は29キロすぎで初の途中棄権。ビルハヌ・レゲセ(24=エチオピア)が、国内レースで2番目に速い記録となる2時間4分48秒で優勝した。

 伏兵のはずの堀尾がレースではよく目立った。1メートル83の長身で黒縁メガネをかけていたからだ。30キロ以降に第2集団を抜け出し、中村を32キロ、佐藤を37キロで捉えた。気温は5度前後で雨の悪条件。日本記録保持者の大迫もリタイアした荒れたレースで、初マラソンの大学4年生が日本人で最初にゴールした。

 「ゴール後に監督に日本人トップと教えてもらいました。これは現実かなと思った」

 ピンチはあった。25キロの給水でドリンクを取り損ねた。終盤まで争うことになる同集団の藤川に助けを求めた。面識のない社会人に勇気を持って声を掛け、水分補給をした。「頂けないかなと思って。優しい方で良かったです」

 視力は両目とも裸眼で0・05。近年では珍しい「メガネランナー」だ。小学3年から着用。中学3年時に一度コンタクトレンズを試すも、「メガネの印象が強くて、(周囲に)おまえ誰?と言われて3日でやめました」と、今に至るトレードマークになった。3本持ち歩き、往路2区を任された今年の箱根は「予備」を使用。今回は約4万円する「オークリー」のエースメガネだった。レース終盤、追い上げを気にして何度も後ろを振り向いた。だが、「メガネがぼやけて、後ろの位置を分かっていませんでした」と周囲を笑わせた。

 箱根駅伝最多の優勝14回を誇る名門・中大のエース。今年は花の2区で5位だった。10年に東京マラソンを制した中大の藤原正和監督は「トラックよりもマラソンで通用する。世界に出ていける」と適性を見抜いた。他の選手より長い距離を課した特訓が実を結び「120点」と目を細めた。

 4月から進むトヨタ自動車には、服部勇馬(25)ら今回手にしたMGCの有資格者が3人もいる。堀尾は「一緒に練習すれば、今回のタイムは超えられるんじゃないか」と新たな環境での成長を期待した。「まだ2時間10分を切っていない」と現実を受け止めつつも22歳の伸びしろは十分。宗兄弟に代表されるメガネのトップランナーへ。視界は明るい。

 ▽マラソングランドチャンピオンシップ(MGC) 今年9月15日開催予定の20年東京五輪代表選考レース。男子は国内主要5大会で日本陸連が定めた順位、記録をクリアするか国際陸連公認大会2レースで好成績を収める必要がある。今回の東京マラソンは有資格者を除く日本人3位までで2時間11分0秒以内、または同4〜6位で2時間10分0秒以内が条件だった。

 ◆堀尾 謙介(ほりお・けんすけ)

 ☆生年月日とサイズ 1996年(平8)8月12日生まれ、兵庫県姫路市出身の22歳。1メートル83、61キロ。

 ☆陸上歴 小学校の校内マラソン大会で毎年のようにトップ10に入り「長距離の適性があるのかな」と中学から陸上部へ。高校は強豪の須磨学園(兵庫)。

 ☆偉大な監督 中大で藤原正和監督の指導を受ける。初マラソン国内最高記録(2時間8分12秒)を持つ恩師に届かず「監督は偉大だと思いました」。

 ☆箱根駅伝 2年生だった16年10月の箱根駅伝予選会で中大は11位となり、連続出場は87回でストップ。堀尾は関東学連のメンバーとして2区を走ったが区間21位。

 ☆憧れ 北京五輪5000メートルと1万メートル代表の竹沢健介氏。好きな女性のタイプは元女優の堀北真希さん。

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