男子個人総合23年ぶりメダルなし 水鳥監督「危機感を感じた」

[ 2018年11月2日 05:30 ]

体操世界選手権第7日 ( 2018年10月31日    カタール・ドーハ )

男子個人総合の表彰式で国歌を聞く7位の白井(左から2人目)と6位の萱(同3人目)
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 世界の進化に衝撃が走った。男子個人総合決勝で萱和磨(21=順大)は84・765点の6位、白井健三(22=日体大)も84・531点の7位。日本が参加した世界選手権の同種目では95年大会以来、23年ぶりにメダルを逃した。金メダルのアルトゥール・ダラロヤン(ロシア)ら萱、白井と同世代の若手が表彰台を占め、20年東京五輪へ水鳥寿思監督(38)は危機感を募らせた。

 白井も萱も大きなミスなく6種目を完遂しながら、世界の頂点とは約3点の大差がついた。日本が参加した世界選手権では個人総合で23年ぶりのメダルなし。水鳥監督は「中国とロシアが強いのは分かっていたけど、予想以上に差があった。東京五輪に向けて、危機感を強く感じた」と険しい表情を浮かべた。

 五輪を含めて世界大会8連覇を達成した内村を右足首痛で欠き、苦戦は覚悟していたが、ライバルの進化は衝撃的だった。優勝したダラロヤン、銅メダルのナゴルニー(ともにロシア)は白井、萱と同学年で、同点銀メダルの肖がショウ「若がジャク「謄がトウ「(中国)は1学年上だ。特にダラロヤンは世界大会での個人総合初出場で、一気に頂点へ。日本での“白井世代”が、大舞台の表彰台を占めた。

 技の難度を示すDスコアは日本勢と大きな差はないが、出来栄えのEスコアで突き放された。「日本も美しい体操をつくり上げてきたけど、正確性や力強さの部分が日本よりも明らかに上回っていた」と水鳥監督。差を縮めるには、地道な努力しかない。「正確で後半でもブレない体操をつくるため、トップ選手でも基本をやっていかないといけない」と言葉をつないだ。

 ライバルの強さを肌で知った2人に、悲愴(ひそう)感がないのが救いだ。白井が「やれることをやってこの順位。満足している」と言えば、「力は出せた」と萱。白井は今大会は床運動で難度を下げているが、高いDスコアを目指すスタンスは不変だ。「技をやめてまで世界の評価を高くしたくない。自分らしい体操を徹底していくのは各選手、意識しているところ。そこはしっかり貫いていきたい」。表彰台に立つために、自らが信じる道を歩む。

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2018年11月2日のニュース