ゴルフ ベースボールグリップが日本のゴルフ界を変えるか

[ 2018年9月20日 17:39 ]

テンフィンガーグリップを見せる時松
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 男子プロの時松隆光の活躍で注目を集めるテン(10)フィンガーグリップ。左手の親指と右手を重ねず、右と左をセパレートした、いわゆる“ベースボールグリップ”は、最近では米ツアー3勝を誇る丸山茂樹も採用するなど広がりを見せ始めている。

 時松の師匠で、10フィンガー理論を提唱する篠塚武久氏(73)が明かすその効用とは。

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 篠塚氏が拠点を置く福岡・筑紫ケ丘GC内の「桜美ゴルフハウス」には、日本各地からスキルアップを目指すゴルファーが指導を受けに訪れる。今やそこは10フィンガーグリップの“聖地”となっている。「最初はみなさん困惑されますね。そこでまず右と左を離して間隔を空けて握るスプリットハンドから試してもらいます。そうして、だんだん手の間隔を詰めいく。慣れてくると、もう戻れないと言われます」

 一般的に、指を絡めるインターロッキングやオーバラーピングは両手の一体感が生まれやすいグリップとされる。しかし「その一体感が捻れを起こす。(一般的なグリップでは)腰を使って(肩と腰の回転の)時間差をつくって、と非常に再現性が悪い」

 篠塚氏が唱える10フィンガー理論は、刀でボールを切るように振るイメージ。右手リードのスイングを行うことで、クラブ面を開閉せずに打てるのが特徴だという。一般的なグリップだと、腕を捻ってクラブフェースを開閉しようとするため、軌道が安定しづらくなる。「よく左手リードという人がいますが、右利きの人が左を鍛えて左手リードでスイングをするのは実は矛盾があって大変なんです」。また、通常のグリップだと左親指を包むように握るため指を痛める可能性もある。でも、10フィンガーならケガ予防の効果も期待できると主張。実際、丸山茂樹もケガに苦しみ、今は10フィンガーを取り入れている。

 もともと篠塚氏はトップアマとして鳴らし福岡県内で練習場を経営。以前はオーソドッックスなグリップだったが、それが変わったのは福岡大の大石迪夫(みちお)名誉教授に「ゴルフスイングは矛盾が多い」と指摘され、その根本原因がグリップにあると感じたことがきっかけだった。「大石先生から課題をもらって20年、試行錯誤しながらやってきました。今はそれを大石のOと篠塚のSでOS理論と呼んでいます。完成はまだですが、集大成の段階です」

 10年から筑紫ケ丘GCに現在の練習施設をオープン。そこから、時松を始め男子ツアーのKBCオーガスタで48位に入った出利葉(いでりは)太一郎(沖学園高2年)や九州女子アマ優勝の後藤未有(同3年)、昨年の日本学生覇者の清水大成(日大2年)ら全国レベルで活躍する選手が育っている。「九州の一カ所から強い子がどんどん出てきたというのは、それだけ10フィンガーがやさしくて、指に負担がかからず故障がなく、有利だということ。これからもっと広がっていくと思います」。将来、10フィンガーグリップがゴルフ界の一大勢力となる日も来るかもしれない。

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