“にゃんこレスラー”文田、日本グレコ最年少世界王者に「負ける気しなかった」

[ 2017年8月23日 11:39 ]

金メダルを手に笑顔の文田(AP)
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 “にゃんこレスラー”が日本レスリング界に新たな歴史を刻んだ。22日にパリで行われたレスリングの世界選手権で、男子グレコローマンスタイル59キロ級の文田健一郎(21=日体大)が初出場初優勝。グレコでは83年大会57キロ級の江藤正基以来34年ぶり4人目の日本人王者に輝き、21歳8ケ月は五輪、世界選手権を通じて日本グレコ最年少王者となった。

 「初出場初優勝だけど国際大会ではいくつも優勝してきた。太田さんにも勝っているので負ける気はしなかった」。決勝ではミランベク・アイナグロフ(カザフスタン)に2―1で競り勝ち、文田は息を弾ませた。リオ五輪銀メダルの太田忍(23=ALSOK)と競り合って勝ち取った代表切符。日頃の練習から激しくしのぎを削り合うライバルの存在が文田の地力と自信を高めていた。

 荒々しいマット上の姿とは対照的に、普段の物腰は柔らかく、猫を愛でる一面もある。「猫っぽいと言われるとうれしい。もつれた時にひっくり返らないとか、レスリングは猫に通じるものがある」。実家にいた頃から猫が飼いたくてしかたなかったが、妹が猫アレルギーで泣く泣く断念。今は寮から近い横浜の猫カフェに通うのが何よりの楽しみで、1人で3、4時間過ごすことも珍しくない。ツイッターのアカウント名も「NyankoWrestler」(にゃんこレスラー)。お気に入りはスコティッシュフォールドやマンチカンといった「短足系」だという。

 得意技も猫のように反り返って投げる反り投げ。ただし、今大会はその“にゃんこ投げ”が決まったのは2回戦だけだった。「相手の研究、防御、対策が凄く、今は壁にぶち当たっている」と語ったように、警戒して胸を合わせてこない相手を攻めあぐねたのは今後の課題として残った。「最終目標は五輪金メダル。今日これだけうれしいんだから、五輪で優勝できたらどれだけうれしいか」と3年後の東京五輪に向けて新たなヒーロー候補が誕生した。

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2017年8月23日のニュース