藍 引退理由「モチベーション維持できない」、昨夏一人で決断

[ 2017年5月30日 05:30 ]

会見の最後にこらえきれず涙ぐむ宮里藍
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 今季限りでの現役引退を26日に発表した女子ゴルフの宮里藍(31=サントリー)が29日、都内のホテルで記者会見した。国民的な人気を誇る“藍ちゃん”は約300人の報道陣を前に、14年間の現役生活を「本当に幸せな選手時代だった」と笑顔で振り返った。引退の理由としてモチベーションの維持が難しくなったことを挙げ、昨夏に自分一人で決断したと明かした。引退後の第二の人生に関しては具体的なプランは持っておらず、結婚も否定した。

 最後のあいさつで感極まった。「たくさんの方にサポートしてもらい選手として本当に幸せだった」。宮里は声を詰まらた。「自分の引き際に対しての寂しさは一切ない」と続けたが、大きな瞳は潤んでいた。

 悩んだ末の結論だった。引退の理由は「モチベーションの維持が難しくなったことが一番の決め手」だった。「4、5年前からどう消化すればいいか手探りで進むしかなかった」。米ツアーでは本格参戦4年目の09年に初優勝し、12年まで毎年勝利を重ねた。10年には世界ランキング1位になった。だが子供の頃からの夢だったメジャー優勝には届かない。「ゴルファーとしてピークを迎えている感覚があるのにメジャータイトルが獲れない葛藤があった。調子が良くて自信もあるのにメジャーで勝てない。どうすればいいのかと立ち止まり自分を見失った」。

 12年夏、2人のメンタルコーチに「何を目標にしていいか分からない」と打ち明けた。「どの選手でもそういう時期はある。焦らず頑張って」と諭されたが、もやもやは消えなかった。「今までやれていた練習ができなかったり、トレーニングでも自分を追い込むことができず、自分が望んでいる形ではなかった」。そのシーズンを最後に優勝から遠ざかった。武器のパットがイップスになるなど不振に陥った。

 昨年8月、リオ五輪の影響で3週間試合がなかった。「ゆっくり考える時間があって自分の中で整理を付けた」と引退を決意した。「誰にも話していなかった。自分自身の人生なので自分で決めるしかなかった」。1人で下した決断だった。

 03年9月にアマチュアとしてツアー初優勝し史上初の女子高生プロゴルファーとなった。以来14年間に及ぶ競技生活を「自分としてはこれ以上ないゴルフ人生だったと思っている」と振り返り、将来復帰する可能性を「100%ないと今は思っている。第一線で結果を残すには物凄いエネルギーが必要」と否定した。

 第二の人生については「ゴルフを通じてたくさんの方にお世話になったので、今度は私が違った形で恩返しできれば」と話したが、具体的なプランはない。結婚は「今のところはない」という。

 覚悟を持って戦う今季は中京テレビ・ブリヂストン・レディースで6位に入るなど復調の兆しがある。「最後に勝って終わりたい。年内のチャンスは一つでも多く生かしたい」。宮里は燃え尽きるまで走り続ける。

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