東京五輪の新種目・サーフィン!有力女子4選手クロストーク

[ 2016年9月23日 11:25 ]

<サーフィン来社>笑顔で大会をPRする(左から)須田那月、宮坂桃子、宮坂莉乙子、川合美乃里

 日本勢が大活躍したリオデジャネイロ五輪・パラリンピックが閉幕し、23日で2020年東京五輪開幕まで1400日となった。東京五輪で追加される5競技で、マリンスポーツの代表格として選ばれたのがサーフィンだ。日本では「レジャー」として捉えられがちのサーフィンだが、スポーツとしての魅力はどこにあるのか。4年後の大舞台を目指す女子選手4人に本音で語ってもらった。(取材構成・阿部 令)

 ――まずは皆さんがサーフィンを始めたきっかけを教えてください。

 宮坂桃子(以下、桃)10歳の時に海に遊びに行ったらサーファーがたくさんいて、格好いいなと。楽しくてずっと見ていられた。ウズウズしてスクールに入りました。

 宮坂莉乙子(以下、莉)私はお姉ちゃんと一緒に始めました。

 須田那月(以下、須)私は生まれが伊豆なんですけど、1、2歳の時にサーファーの父がインストラクターをするために種子島に移住しました。10歳の時に初めてやって怖くてすぐ辞めてしまったんですけど、小6の時に弟と一緒に再開しました。

 川合美乃里(以下、川) 私も父がサーファー。小1の時に母もサーフィンを始めることになって、浜で1人で待つのは嫌だなと思って始めました。母はもう辞めてしまいましたけど(笑い)。

 ――サーフィンは親の影響で始める人が多い傾向がありますよね。

 桃 うちは両親はやってなかったですね。でも結構スパルタ教育です。

 川 私は徳島出身なんですけど、サーフィンにより良い環境を求めて高校に進学した今年4月に一家で千葉に引っ越しました。

 ――それは凄い!

 川 父は移住で会社も変わったんです。

 ――サーフィンの魅力は?

 須 波に乗っている感覚というか、浮遊感が気持ちいい。あとは他のスポーツと違って、プロもアマも同じところで練習するので、すぐにみんなと友達になれるところ。

 莉 私は海外にたくさん行けるところかな。

 一同 (爆笑)

 莉 モルディブへのツアーに参加したことがあって、数十人乗りのクルーザーでいい波のある所へ行ってサーフィンをして、船で寝泊まりするんです。凄く楽しかった。お金はかかりましたけど。

 須 お金の面では大変ですね。特に日本の女子選手は。私は仕事をせず競技一本ですけど、収入は試合のボーナスやスポンサーさんからの支援。日本代表として海外遠征に行っても連盟からは補助が全く出ませんし、家族みんなで借金して遠征費を捻出しています。

 ――それは大変。

 須 遠征費だけでも年間300万円くらいかかります。移動便も安いチケットだと経由が多くて大変です。WCT(注1)の選手だと億単位の契約のある選手もいます。

 ――五輪種目になって注目が高まっています。

 川 どの大会に行っても、テレビカメラが回るようになったよね。

 桃 今まではビーチで見ているのは他の選手だけ、ということが多かったけど、凄くたくさんお客さんが来てくれるようになった。

 須 だからこそ、選手も自覚と行動で示さないといけないと思う。

 川 プロらしい行動は意識しています。スノーボード(注2)じゃないですけど、サーフィンには不祥事のイメージが付きまとっているので。

 ――川合さんは15歳なのにしっかりしていますね。

 須 今年、ワールドジュニアに2人で行ったんですけど、ストイックで凄くしっかりしているんですよ。でも、料理とかはまだ不慣れで、そこは子供っぽいなあと(笑い)。

 川 那月ちゃんは毎日毎日、メチャクチャおいしい料理をぱっぱと作るんですよ。メークも教えてくれるし、女子力高いです。すぐにでもお嫁さんに行けます。

 一同 (爆笑)

 ――10月には国内で大きな大会(注3)もあります。

 莉 可愛いサーファーガールを見に来てほしいですね。

 桃 ファンが海から上がった選手と自由に交流できるのがサーフィンのいいところだよね。

 須 世界のトップ選手も出場するし、MCが技の解説をしてくれるので、初めての方でも楽しめると思います。

 川 いつもはみんな仲が良くても試合になると真剣勝負。その割り切りは凄いところだと思う。

 須 サーフィンは年功序列とかしきたりがない。そういう雰囲気をお客さんにも感じてもらいたいですね。

 ◆宮坂 桃子(みやさか・ももこ)1996年(平8)2月10日生まれの20歳。千葉県出身。11年プロ合格。宮坂3姉妹の長女。得意技はスラッシュ。趣味はボードに絵を描くこと。

 ◆宮坂 莉乙子(みやさか・りおこ)1997年(平9)7月16日生まれの19歳。千葉県出身。12年プロ合格。宮坂3姉妹の次女。得意技はカットバック。

 ◆川合 美乃里(かわい・みのり)2000年(平12)12月14日生まれの15歳。徳島県出身。14年プロ合格。得意技はフロントサイドの垂直リップ。通信制高校1年のJKサーファー。

 ◆須田 那月(すだ・なつき)1995年(平7)9月7日生まれの21歳。鹿児島県出身。11年プロ合格。得意技はフロントサイドのカービング。実家は種子島で「サーフヴィラnarai」を経営。

 ※注1 ワールド・サーフ・リーグ(WSL)が主催する世界最高峰ツアー大会であるチャンピオンシップ・ツアーのこと。男子は34人が年間11大会、女子は17人が年間10大会の獲得ポイントで総合優勝を決める。

 ※注2 昨年の米コロラド州への遠征で、スノーボード・スロープスタイルの男子未成年選手2人が大麻を吸引したことが今年4月に発覚し、全日本スキー連盟が2人を無期限の競技者資格停止と強化指定選手解除など、4つの処分を下した。

 ※注3 ホワイトバッファロー女子プロQS3000鴨川(スポニチ後援、10月21~23日、千葉県鴨川マルキポイント)。グレードの高いQS3000の女子大会が日本国内で開催されるのは史上初めて。

 ≪NAMINORI JAPAN≫ 東京五輪に向けて「NAMINORI JAPAN(波乗りジャパン)」の愛称が付けられた日本代表だが、今後の強化は急務。現在、WCTに参戦する日本人は男女ともゼロ(両親が日本人で米国生まれの五十嵐カノアを除く)。翌年のWCT入りを争う下部シリーズのランキングでも、男子は56位の大原洋人、女子は46位の野呂玲花が最高位だ。米国、オーストラリア、ブラジルの世界3強との選手層の差は大きい。

 日本サーフィン連盟はA~Cと3段階の強化指定制度を設け、今年はAに男子7人、女子4人が指定されている。今回インタビューに応じた15歳の川合ら4人は4年後への飛躍が期待される強化指定B。選手は遠征費などの金銭的サポートを受け、国際大会を転戦している。昨年8月には大原が全米オープン(下部シリーズ)で日本人として初優勝。強化策の成果は徐々に出ており、4年後に向けてさらに加速させていく。

 ▽東京五輪の追加種目 野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン。空手は4種目、スケートボードは2種目があり、男女合わせて計18種目が行われる

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