稀勢の里 琴奨菊との2敗対決制し2差死守!次は全勝・豪栄道

[ 2016年9月21日 05:30 ]

<大相撲九月場所 10日目>自分の応援団(左奥)の前で琴奨菊を寄り切りで破る稀勢の里(右)

大相撲秋場所10日目

(9月20日 両国国技館)
 初優勝へ、横綱昇進へ、大関・稀勢の里が踏みとどまった。横綱大関戦が始まり、綱獲り大関は琴奨菊との2敗対決を落ち着いた取り口で制した。勝ちっ放しの大関・豪栄道は10連勝で単独トップをキープ。きょう11日目は優勝争いを左右する稀勢の里―豪栄道戦が組まれた。横綱・日馬富士、平幕・遠藤とも1敗を守り、2敗は稀勢の里、関脇・高安、平幕・琴勇輝の3人となった。

 負ければ優勝も綱獲りも遠のく一番だったが、取組前も取組後も稀勢の里の平常心は揺るいでいなかった。トップとの2差を守って勝ち越しを決めると「これからじゃないですか」と出番前からの表情を崩すことなく話した。

 優勝争いのサバイバル戦となった2敗同士の琴奨菊戦。史上最多の幕内61回目の取組で、強さを見せつけた。鋭い出足を強烈な左おっつけで止めると、左を差して右から抱えた。攻めきれない琴奨菊が右を巻き替えに来たところで攻め、粘る相手を振り切るように寄り切った。

 それぞれの攻めに手応えがあった。全体の流れには「いいんじゃないですか」、立ち合いの当たりには「よかったです」、巻き替えに乗じた寄りには「まあ、落ち着いて」。短い言葉に自信がこもっていた。「技」だけでなく「体」も充実している。「体もだいぶいいですから。日に日にいいと思います」。調子のよさが「心」の落ち着きぶりにつながっている。

 最高の形でリベンジを果たすチャンスだ。12年夏場所、大関3場所目の稀勢の里は10日目を終え、9勝1敗で単独トップに立った。11日目には2敗力士が消えて2差がついた。初優勝は目の前に迫っていたが、そこから残り4日で3敗。優勝決定戦に進むことすらできず、旭天鵬に賜杯をさらわれた。15日制が定着した49年夏場所以降、10日目終了時点でトップとの2差を逆転して優勝したのは、その場所の旭天鵬を含めて7人。逆の立場から賜杯を狙う稀勢の里は「やることは変わらない」と気負いはない。

 11日目は全勝の豪栄道と対戦する。勝てばトップと1差となり、優勝の可能性が膨らむ。一方で、敗れれば豪栄道と3差となる。15日制定着後、11日目での3差を逆転して優勝した例はなく、その時点で優勝が条件の横綱昇進は絶望的となる。稀勢の里にとっては連日の大一番となる。豪栄道戦について聞かれると「集中してやる」とだけ答えた。最近4連勝と分のいい相手に全てを出し切り、消えかけていた綱獲りのムードを再燃させる。 

 ●琴奨菊 稀勢の里に左四つで寄り切られ3敗に後退。敗因を聞かれ「まず立ち遅れ。0コンマ何秒。圧がかかっていない」。

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