松島 得意フルバックで“10分間の空白”W杯のリベンジ

[ 2016年6月18日 06:45 ]

スコットランド戦の前日練習で最終調整する日本代表のFB松島幸太朗

 リベンジの準備は整った。18日にスコットランドと対戦する日本代表が17日、試合会場で最終調整を行い、FB松島幸太朗(23=サントリー)は必勝を誓った。昨年のW杯では唯一の敗戦を喫し、日本は3勝しながら1次リーグで敗退した史上初のチームとなった。その試合ではウイングとして先発も、シンビンで10分間の一時的退場処分を受けるなど、悔いを残した松島。最も自分を生かせるポジションというフルバックで、日本に勝利をもたらす。

 2日前の練習で左太腿を痛め、前日は大事を取って練習を取り止めた松島が、颯爽とピッチへ飛び出した。「はり治療をした。問題ない」と言った通り、患部を大きなサポーターで覆っていたものの、動きは軽快。リベンジマッチは日テレが史上初めてゴールデンタイムに生中継し、全国に届けられる。「へたな試合はできない。チームとしていいパフォーマンスをしたい」と自分に言い聞かせるように話した。

 W杯では南アフリカから歴史的勝利を挙げながら、続くスコットランド戦に敗れ、1次リーグ敗退につながった。当時は中3日の強行日程が敗因とされたが、今回は当てはまらない。ならば条件に差はなく、真っ向勝負となる。その試合で15番を着た五郎丸は、右肩故障のため不在。しかし松島に「代役」や「穴埋め」という意識はない。19年W杯での15番獲得に照準を合わせ、11日のカナダ戦(バンクーバー)では決勝トライも奪った。

 269日前の一戦で泣かされたのが、相手の主将SHレイドローのハイパントキック。上空の風も完璧に読み、絶妙な位置にボールを落とされた日本は対処が遅れた。ただ、処理さえうまくできればカウンターチャンスとなる。そのスペースでボールを持った状況こそ、松島が最も生きるシチュエーション。スピードに加えて加速力、敏しょう性は、出場機会が限られた今季のスーパーラグビーでも証明済み。「ハイパン対策は練習するのみ」と静かに話す表情には、自負を感じさせた。

 前半23分には不可解な判定でシンビンとなった松島は「夢にまでは出てこないです。そういえばもらったな、くらい」と苦笑いするが、10分間の空白に悔いがないはずがない。胸の奥で闘志をたぎらせるタイプの23歳は「いつも通り落ち着いていく」と落ち着いた口調に気持ちを込めた。

 ▽W杯スコットランド戦VTR 15年9月23日にグロスターで対戦。南アフリカ戦から中3日だった日本は先発6人を変更する一方、スコットランドは大会初戦だった。試合は2PGでリードされていた前半14分、モールからNo・8マフィがトライし、五郎丸のコンバージョンキックで逆転。しかしその後にPGを決められ再逆転され7―12でハーフタイムに。後半は走力と集中力が切れた日本をあざ笑うかのように5トライを奪われ、10―45で完敗した。

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2016年6月18日のニュース