羽生世界選手権で人類初4回転ループ決める!「挑戦したい」

[ 2015年12月29日 05:30 ]

4回転ループの練習をする羽生(1)

全日本フィギュアエキシビション

(12月28日 北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)
 フィギュアスケート男子で全日本選手権4連覇を達成した羽生結弦(ゆづる、21=ANA)が、世界初の大技に挑む。世界選手権(来年3月30日~4月2日、米ボストン)の日本代表が28日、札幌市内で会見し、真駒内セキスイハイムアイスアリーナでエキシビションに出演。羽生は場内インタビューで、国際連盟(ISU)公認大会では成功例のない4回転ループに挑戦することを宣言した。女子優勝の宮原知子(17=関大高)、3位の浅田真央(25=中京大)らも華麗に舞った。

 羽生が大技へのアタックを決意した。約10時間前の会見で世界選手権に向けて「4回転の種類を増やすべき」と話していた21歳は、エキシビションでの場内インタビューで「挑戦していきたい。今できる限界の構成をしているけど、この限界をさらに上げていきたい」と宣言。現在、プログラムに入っている4回転はサルコーとトーループの2種類。2季ぶりの金メダル奪回を狙う大舞台では、ISU公認大会で成功例のない4回転ループに挑戦する。

 昨オフから今季での投入を目指していたが、練習での精度を考慮し、ここまではプログラムに入れていなかった。ただ、練習は継続しており、2週間前のGPファイナルのエキシビションでも挑戦。この時はバランスを崩したが、この日のエキシビション前の練習では決めた。11月下旬からNHK杯、ファイナル、全日本選手権と約1カ月で3試合の過密日程だったが、世界選手権までは約3カ月ある。時間的なゆとりが、進化を後押しする。

 4回転の基礎点はサルコーが10・50点、トーループが10・30点、ループは12・0点。フリー「陰陽師」の前半に跳ぶ単発の4回転トーループを4回転ループに変えれば、演技のつなぎ部分などに手を加えずスムーズに新構成に移行でき、ジャンプの基礎点は1・7点アップする。史上初の成功をフィギュア史に刻んだ時、自身が保持する合計330・43点の世界最高得点の更新も、現実味を帯びてくる。

 「良かったと思える試合」と振り返ったNHK杯、「成長したと感じた試合」と言うGPファイナルで世界新を連発。SP、フリーで計3度転倒し「ホントに悔しい」と話した全日本で15年を終え、16年も細身の体で大きな期待を背負う。「自分の中でもっと評価できるジャンプ、もっと自分が評価できる表現」を目指す21歳は、「どんな背景をお持ちの人でも、どんな気持ちを持っている方でも、自分の表現が届けられるように、一つ一つの所作を含めて練習していきたい」と力を込めた。4回転ループが、羽生の表現に深みを与える。

 ▽ループ 両足をそろえた助走から跳ぶ直前に足がクロスして、一瞬腰が沈み込む姿勢になる。右足踏み切りで爪先は使わない。

 ▽サルコー 踏み切りの直前に両足をハの字に開くのが特徴。左足内側のエッジで滑り、右足を前方に振り上げて跳ぶ。

 ▽トーループ ジャンプの種類の中で最も簡単とされる。右足外側のエッジに乗り、左爪先を突いて踏み切るのが特徴。

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