逸ノ城、再び白星先行 今度は鶴竜に真っ向勝負!

[ 2014年11月14日 05:30 ]

逸ノ城がはたき込みで豪風を破る

大相撲九州場所5日目

(11月13日 福岡国際センター)
 大相撲九州場所5日目が13日に行われ、昭和以降最速の所要5場所で新関脇となった逸ノ城が小結・豪風をはたき込みで倒し、序盤を終えて3勝2敗と白星を先行させた。6日目は先場所変化で勝った横綱・鶴竜戦。真っ向勝負で挑んで稽古をつけてもらった“恩返し”を果たすことを誓った。大関以下は勝ちっ放しがいなくなり、早くも無敗は白鵬と鶴竜の2横綱だけとなった。

 逸ノ城が怪物としての本性を見せ始めてきた。身長1メートル92の自身より21センチも低い豪風の当たりをどっしり受け止める。そして握力70キロの右手で相手の頭を押さえつけながら自身は素早く後ろに下がる。35歳のベテランが土俵上に倒れたのは立ち合いから3秒5。「前に出て勝ちたかった」と納得はしないが、力強さとうまさを兼ね備えた先場所の姿に近づいてきた。

 序盤を終えて3勝2敗と白星を先行させ、6日目の鶴竜戦に挑む。先場所は変化で勝ち、横綱は唇を震わせるほど激高。その“報復”として先月の秋巡業ではぶつかり稽古で3日連続のかわいがりを受け、その後、帯状疱疹(ほうしん)で入院に追い込まれた。そんな経緯もあるだけに、取組後には「真っすぐ行って立ち合いから下がらない」と真っ向勝負を宣言し「たくさん稽古をつけてもらったので喜んで思い切って行く」と“恩返し”を誓った。

 上り調子となった秘密は食事にある。前夜に後援者と洋食店に出向き、300グラムのステーキと骨付きラム肉とカルボナーラをぺろり。「ジョッキでビールをけっこう飲んだ。何杯飲んだか分からない」と今場所に入ってから初めてアルコールを口に入れた。ダイエット中ではあるが「場所中は減るんです」と気兼ねなく食べ物を口にできる。事実、場所前に200キロを超えた体重は現在198キロに減少している。

 会場から駐車場の車に乗り込むまでの帰り道。玄界灘から吹いた冷たい風に報道陣や付け人は体を縮こまらせたが、怪物は「気持ちいいっすよ」とケロリ。吹雪に耐えながら遊牧民として家畜の世話をしたモンゴルの大草原の冬に比べれば、なんてことはない。やはりただ者ではない21歳。今場所も何かをやってくれそうだ。

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