遠藤連敗「綱は強かった」 初の結びで日馬にブン投げられた

[ 2014年3月11日 05:30 ]

日馬富士(左)に投げられる遠藤

大相撲春場所2日目

(3月10日 ボディメーカーコロシアム)
 デビューから7場所目で横綱初挑戦となった東前頭筆頭の遠藤(23=追手風部屋)は全休明けの横綱・日馬富士(29=伊勢ケ浜部屋)に豪快なすくい投げを決められ、初日から2連敗を喫した。勝てば武双山(現藤島親方)の記録を2日更新する最速初金星だったが、かなわず。3日目の横綱・白鵬戦でも結びで最速記録を懸けて挑む。

 最後の仕切りの際に起きた“遠藤コール”が聞こえないほど集中していた。入門から1年でたどり着いた誰もが憧れる結びの相撲。前日の鶴竜戦は「無我夢中」も、この日は「緊張はあったんですけど、自分を見失うとかじゃなかった」と冷静だった。注目の立ち合いは「跳んだりして勝っても自分のためにならない、今は。それで負けた方が悔しいから思い切っていった」と真っ向勝負。日馬富士に突っ張られて必死にこらえ、土俵際まで押された際にわずかにまわしに触れた。だが、その瞬間に横綱の右からの強烈なすくい投げを食い、1回転。左眉からは前日同様に血が流れ、スピード出世の象徴であるざんばら髪に土がついた。

 「(横綱は)強かったです。オーラが凄かった。1年で結びまで来たのはうれしいけど負けたことは素直に悔しい」

 場所前は“協会の顔”として連日のようにイベント出演して多忙を極めたが「誰でもできる環境ではない」とプラスに捉えた。「昼寝をする時間がなかった」と車で移動中に熟睡。夕食も宴席が続いた。「なるべく飲まないように」と自己管理しているが、空気を読んで「乾杯の時のビールだけは頼んだ」と“付き合い”もこなした。「大阪の人には1年で1度しか会えないですから」。初めての上位総当たりという経験に加え、人気力士の自覚も芽生えている。きょうの白鵬戦に勝てば武双山の最速初金星記録を1日更新。3年前の3月11日は都内にある日大相撲部寮で大きな揺れを体験した。「1秒でも長く土俵の上に立って頑張る姿を見せたい」。あの時、20歳だった大学生は今や角界の将来を担うニューヒーロー。もう、自分のためだけに相撲を取っているのではないことを分かっている。

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