沙羅 女子単独最多14勝目 地元の大観衆に「幸せ」

[ 2014年1月12日 05:30 ]

通算14勝目を挙げ笑顔を見せる高梨沙羅

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第6戦

(1月11日 札幌市宮の森=HS100メートル、K点90メートル)
 ソチ五輪の金メダル候補、高梨沙羅(17=クラレ)が地元で記念の優勝をつかんだ。1回目に最長不倒の99メートルを飛んで首位に立つと、2回目はゲートを下げて手堅く94・5メートルにまとめて合計254・5点。昨年は2戦とも表彰台を逃した地元・北海道でのW杯初制覇。今季6戦5勝で、通算14勝目は3シーズン目を迎えた女子W杯の単独最多勝記録となった。伊藤有希(19=土屋ホーム)が84メートル、95メートルの219・6点でW杯自己最高の4位に入った。

 記録的な寒波も高梨の生み出す熱狂を冷ませなかった。誰もが固唾(かたず)をのんで見守る中、17歳の女王は降りしきる雪を突き破り、軽やかに悠然と着地を決めた。

 「地元でたくさんの人に集まってもらえてその中に飛んでいくのは幸せだった。いい日になった」。優勝を確かめると緊張していた顔は和らいだ。サラ・ヘンドリクソン(米国)と並んでいたW杯勝利数で単独最多となる14勝目。だが記録については「特に考えていない」と素っ気なく、周囲の期待に応えられた喜びの方を強くにじませた。

 前回のロシアでのW杯で開幕からの連勝が途切れ、今大会前にはブーツと板を新調した。1回目はヒルサイズに迫る99メートルでトップ。2位のフォクトに19点、距離にして6メートルの大差をつけると、2回目は冷静に勝ちにいった。全日本の小川孝博チーフコーチの判断で、他の選手より一段下げた18番ゲートからスタート。1回目の貯金、風の計算などを踏まえ、小川コーチが「雪がかなり強い。100メートルを超えたところで転倒する可能性もある。ならば90メートル少し飛べば勝てる」と判断した。

 昨年の札幌2連戦は12、5位に終わった。五輪イヤーの今年は大きな期待を背負いながら成長した姿を示した。「ソチはこんなに寒くはないと思うし、対応するのは大変ではない。大会の名称が違っても、どの試合もやることは一緒」。女子ジャンプの競技日程は2月11日。ちょうど1カ月後、この日の熱狂はロシアに舞台を移して再現される。

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