矢富弟“急造キッカー”も1G3PG!仙台育英、初戦突破

[ 2013年12月28日 05:30 ]

<大分舞鶴・仙台育英>大分舞鶴に勝利し大喜びの仙台育英フィフティーン

第93回全国高校ラグビー大会

(12月27日 近鉄花園ラグビー場)
 1回戦8試合が行われ、仙台育英(宮城)が大分舞鶴(大分)を21―12で破り、2回戦進出を決めた。後半12分には大会史上初となる雷による25分間の中断に見舞われたが、ラグビー元日本代表の矢富勇毅(28=ヤマハ発動機)を兄に持つFB洋則(3年)を中心としたアタックで、古豪に競り勝った。東京(東京第2)は63―0で城北(徳島)に大勝した。

 急造キッカーと思えないキック力と正確性だ。前半4分、仙台育英はペナルティーを得るとPGを選択。フィールドの左中間、ポールまで40メートル。ゆっくりと助走に入った矢富だが、低い弾道のキックが決まると、花園のスタンドはどよめいた。

 「きのうまでは全然入らなかったけど、みんながいろいろとアドバイスをくれたら入るようになった。風上なら50メートルでも蹴らせてくれと頼んでいました」

 本来のキッカーはCTB今(2年)だが、11月に右膝の前十字じん帯を痛めた影響で、大会直前になって矢富に大役が回った。前日の練習では力みから失敗続きだったが、今から「最初から力が入っている。力を抜いて」と助言を送られると成功率アップ。小学校までプレーしていたサッカーで磨いたキック力も発揮して1G3PGを沈め、超高校級のロングキックやハイパントで何度もスタンドをどよめかせた。

 この日履いていたオレンジ色のスパイクは、11月9日の18歳の誕生日に合わせ、兄の勇毅から贈られた物。目標とする選手も兄で「“最後の花園だから楽しんでこい”と言われました」と話す。地元の京都成章から早大へと進学した兄と違い、仙台育英へ進学したのは11年4月。入部当初は東日本大震災の直後で「練習後にお湯や水が使えなかったこともある。登校時の交通機関にも苦労した」と振り返ったが、進学先を変更する考えは「なかった」。雷鳴による中断中にはチームメートに積極的に声を掛け、集中力を切らさなかった。

 次戦は30日、Aシードの東海大仰星(大阪第1)と対戦。相手に不足はない。「臆せずに前に出てタックルします」と大物食いを誓った。

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