吉田沙保里 国民栄誉賞受賞でおねだり「金色の真珠」

[ 2012年10月24日 06:00 ]

栄監督(下)に肩車で持ち上げられ笑顔の吉田

吉田沙保里 国民栄誉賞受賞会見

 政府は23日、世界選手権と五輪と合わせて13大会連続世界一を達成したレスリング女子55キロ級の吉田沙保里(30=ALSOK)に、国民栄誉賞を授与することを正式に決めた。授与式は11月7日。これを受け、都内で会見を行った吉田は、記念品として出身地の三重県にちなんで“金色の真珠”を希望。金メダルハンターとして世界大会14連覇と、16年リオデジャネイロ(ブラジル)五輪での優勝を約束した。

 昨年のなでしこジャパン以来、20例目となる国民栄誉賞の受賞が正式に決まった吉田は、緊張した面持ちで100人を超える報道陣の前に姿を現した。「この大変名誉ある賞は多くの国民の皆さんにご支援をいただいたたまもの。今後、世界大会14連覇、16年五輪で金メダルを獲得することなど、世界記録を更新することが国民栄誉賞へお応えすることになると思う」とあらためて現役続行と勝利への責任感を示した。

 今月4日に国民栄誉賞の検討を政府が明かして、2週間あまり。藤村修官房長官はこの日午前の定例会見で「レスリング史上前人未到の偉業を成し遂げた。女性スポーツのフロンティアを開拓した」などと理由を述べ、正式に表彰を発表した。都内で待機していた吉田は会見の冒頭で「20年は絶対に東京で五輪を開催して、子供たちに夢を、被災地の皆さんに勇気と希望を与えることが大切」とスポーツ界のリーダーとしての自覚も口にした。

 だが、表情が硬かったのは最初だけ。ファンを公言するNEWSの「チャンカパーナ」のポーズを決めると、記念品の希望について「私は三重県出身で(特産品の)真珠を、それも金色で作ってもらったらうれしい」とおねだりした。真珠で知られるミキモトによると南半球で養殖される白蝶貝から採取されるもので「ゴールデンカラーパール」と呼ばれる金色のものがあるが、希少性が高く、非常に高価。さらに、通常の真珠を金色に加工するケースは前例がないという。

 02年の世界選手権初出場から大舞台では負けなしの金メダルハンターらしい要望に政府はどう応えるか。来年の世界選手権(ハンガリー)を前に14個目のゴールドを手にすれば、それも最強女王のエネルギーに変わるのは間違いない。

 ▼ロンドン五輪で女子監督を務めた日本レスリング協会栄和人女子強化委員長 つらい時期もありながら五輪や世界選手権で13度も勝ち抜いた。世界の舞台に出るためには国内でも休みなしに闘って勝たないといけない。心技体全てにおいて凄いこと。

 ▽国民栄誉賞 1977年に野球の本塁打世界記録を達成した王貞治選手(当時)の功績を称えるため創設された。当初の「表彰規程」は広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与える顕著な業績を挙げた個人が対象だった。昨年、サッカー女子W杯で初優勝した「なでしこジャパン」に贈る際に団体として受賞できるよう規程変更した。過去に歌手の故美空ひばりさんや映画監督の故黒澤明さんらが受賞。

 ◆吉田 沙保里(よしだ・さおり)1982年(昭57)10月5日、三重県生まれの30歳。久居高―中京女大(現至学館大)―ALSOK。全日本王者の父・栄勝さんの影響で3歳からレスリングを始める。五輪は04年アテネ、08年北京、12年ロンドンと3連覇。今年9月の世界選手権で02年からの連覇を10とし、五輪と合わせて「13大会連続の世界一」を達成。得意技はタックル。両親と兄2人。1メートル56。血液型O。

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