小塚 逆転V 学業封印が吉「甘く見過ぎていた」

[ 2012年10月22日 06:00 ]

表彰台を独占し笑顔を見せる(左から)2位の羽生、優勝した小塚崇彦、3位の町田

フィギュアスケートGPシリーズ第1戦 スケートアメリカ第2日

(10月20日 米ワシントン州ケント)
 逆転戴冠だ。男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)2位の小塚崇彦(23=トヨタ自動車)が、251・44点で10年フランス杯以来2季ぶり4度目のGP優勝を果たした。9・75点差でSP首位だった羽生結弦=ゆづる=(17=東北高)は4回転ジャンプで転倒し、243・74点で2位。229・95点で町田樹(22=関大)が3位に入り、06年NHK杯以来、6年ぶりにGPで日本男子が表彰台を独占した。

 日本勢3人が並んだ表彰台。その中央に立った小塚の表情が輝いた。「久しぶりに優勝の気持ちを味わえたのはプラスに働く。満足できる演技じゃないけど、あれだけ点数が出たのは自信になる」

 SPで世界最高点となる95・07点を叩き出した17歳・羽生と、9・75点差で迎えたフリー。絶望的な大差にも、「諦めるのは嫌い」と奮い立った。冒頭の4回転トーループ、続く4―2回転のコンビネーションを持ちこたえると、バイオリンの音色に合わせて伸びやかに舞った。最後の3回転サルコーで氷に手をつき「後味が悪い」と苦笑いを浮かべたが、ジャンプなどの技術点だけでなく、表現力が評価される5項目の演技点でもトップ。フリーでダントツの166・12点をマークし、堅実な演技で、出番を待っていた羽生に重圧をかけた。

 捲土(けんど)重来を期すシーズンだ。一昨季はGPシリーズ連勝、全日本選手権も初制覇し、世界選手権では銀メダルを獲得した。次代のエースとして大きな期待がかかったが、昨季は一転して屈辱を味わった。ファイナル進出を逃し、世界選手権も11位と惨敗。11年4月に中京大大学院に進学し、競技と学業の両立に苦しんだことが不振の原因だった。「スケートも大学院の勉強も甘く見過ぎていた」。14年ソチ五輪を見据え、学業を封印することを決めた。競技に集中し、オフは1日3時間の氷上でのトレーニングと陸上でのトレーニングを消化。練習で培った自信が、好演技につながった。

 次戦は11月9日開幕のロシア杯(モスクワ)。世界王者のチャンもエントリーしている一戦だが、優勝すれば五輪開催地・ソチで行われるGPファイナルへの進出が決定する。「昨季は全てが後手後手になってしまった。今季は自分で立てたスケジュール通りできるよう先に先にいけたらいい」。心身ともに不安はない。自身が描いた黄金のシナリオを氷上で実現する。

 ◆GPシリーズの表彰台独占 日本人選手によるものは06年のNHK杯の男子(高橋大輔、織田信成、小塚崇彦)女子(浅田真央、村主章枝、中野友加里)、08年NHK杯の女子(浅田、鈴木明子、中野)と過去3例。いずれも国内での開催で、海外では初めて。

 ◆小塚 崇彦(こづか・たかひこ)1989年(平元)2月27日、愛知県出身の23歳。06年世界ジュニア選手権優勝。GPシリーズは08年スケートアメリカで初勝利を挙げた。10年バンクーバー冬季五輪8位。初の全日本王者となって迎えた11年世界選手権は2位。父の嗣彦さんは68年グルノーブル冬季五輪代表、母の幸子さんはアイスダンスで全日本選手権準優勝。中京大大学院、トヨタ自動車所属。1メートル70、62キロ。

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2012年10月22日のニュース