スーパー小学生・出雲卓斗 史上初の男子シングルス勝利

[ 2012年1月20日 06:00 ]

男子シングルス2回戦で強烈なドライブを放つ出雲

卓球全日本選手権第3日

(1月19日 東京体育館)
 スーパー小学生は女の子だけじゃない。男子シングルスで小学6年生の出雲卓斗(12=鳥屋クジュニア)が1、2回戦を突破し、3回戦に進出した。同種目で小学生が勝利を挙げるのは史上初で、16年リオデジャネイロ五輪、東京が招致を目指している20年五輪へ、楽しみな逸材が現れた。女子シングルスでは加藤美優(12=TKO)が4回戦に勝ち、00年大会の福原愛以来、小学生で5回戦に進出した。

 歴史を塗り替えても、表情は変わらない。12歳の小学6年生が淡々と金字塔を打ち立てた。1回戦で小学生として史上初となる男子シングルスでの白星を挙げた出雲は、続く2回戦も突破。1メートル53の小さな体に丸刈りのあどけない少年は「うれしかった。まだ実感がない。2回勝つのが目標だった」とはにかんだ。

 1回戦はやや動きが硬かったものの、高校生相手にストレート勝ち。緊張の取れた2回戦は大学生を相手に好プレーを連発した。多彩なサーブで翻ろうすると、最後は相手がリターンできない強烈なスマッシュ。フルゲームの激戦を制し「守りに入らず、最後まで攻めることができた」と胸を張り、「あす(20日)も1回勝ちたい」と3回戦へ気合を入れた。

 父・卓さん(35)、母・美弦(みつる)さん(36)だけでなく、父方の祖父、祖母も元選手という卓球一家に育った。3歳でラケットを握ると、卓さんのスパルタ教育を受けて一日も休まずにトレーニング。低学年の頃から年代別の大会で上位入賞を果たした。さらなる飛躍のため、昨年3月には石川県鹿島郡の実家を離れ、親交のあった遊学館高・植木監督の金沢市内の自宅で下宿生活をスタート。小学校の授業が終わると、遊学館高の高校生とともに汗を流す。常に年上と打ち合っているからこそ、全日本の大舞台でも冷静にプレーできた。

 「卓斗」という名前には、卓球界で北斗七星のように輝いてほしいという両親の思いが込められている。将来の目標を問われると「五輪で1位になることです」と言い切った。16年リオデジャネイロ五輪、東京が招致を目指している20年五輪へ。無限の可能性を秘めた12歳には、輝く未来が待っている。

 ◆出雲 卓斗(いずも・たくと)1999年(平11)9月15日、石川県鹿島郡中能登町生まれの12歳。小学3、4年時に全日本選手権カブ(小学4年以下)のシングルスでベスト8、小学5年で同選手権ホープス(小学6年以下)のシングルスでベスト8、小学6年の今季は同選手権ホープスを制し、東アジアホープス団体準優勝。1メートル53、45キロ。

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