元学生横綱・佐久間山 史上最多に並ぶデビュー26連勝

[ 2012年1月17日 06:00 ]

千代皇を上手投げで破り、デビューから負けなしの26連勝となった佐久間山

大相撲初場所9日目

(1月16日 両国国技館)
 08年の学生横綱で、東幕下15枚目の佐久間山(23=北の湖部屋)が千代皇を逆転の上手投げで下し、5戦全勝。序ノ口デビューからの連勝を26に伸ばし、元小結・板井の史上1位の記録に並んだ。残り2番勝って7戦全勝なら、史上最速となる所要5場所(付け出しを除く)での新十両昇進が濃厚だ。幕内は全勝の横綱・白鵬、大関・把瑠都がともに勝ち、1敗は大関・稀勢の里1人となった。
【取組結果】

 度胸のよさでピンチをしのいだ。中日の寺下戦に続き、佐久間山は立ち合いで、もろ差しを許した。「この体勢なら相手はつるしかない」。予想どおり千代皇はつって出たが、体を激しくくねらせて抵抗。足が宙に浮いている間に右上手をつかみ、着地と同時に豪快に投げ捨てた。

 本割では序ノ口デビューから一度も負けずに、重ねた勝利は26。史上1位の連勝記録に並んだ。幕下の土俵だというのに、館内には歓声と拍手が湧き上がったが、本人は「(記録は)あまり意識してません。焦ったら負け。いつもいい相撲が取れるわけじゃないですから」と涼しい顔だ。

 連勝記録よりもこだわるものがある。日大2年で学生横綱のタイトルを獲得。3カ月後の09年2月に父・佐久間幸一さん(享年52)が他界した。その後は母・厚子さん(52)が東京都北区で居酒屋「さくま」を一人で切り盛りしながら、大学に通わせてくれた。「ケガをしないで早く(番付で)上がりたい。母に早く楽をさせたい」。1場所でも早く関取に昇進して親孝行したい。その思いを抱いて日々精進してきた。取組には亡き父の写真をまわしに挟んで臨む。歴史に残る快挙は最初の恩返しになった。

 場所後の2月には千葉県にある菩提(ぼだい)寺に父の墓参りに行く。「疲れはちょっと残ってますけど、あと2番。体のケアをしっかりして頑張りたい」。相撲協会の内規では幕下15枚目以内で7戦全勝なら十両に昇進できる。残り2番を勝てば、史上最速となる前相撲から所要5場所で十両の地位をつかむ。両親に吉報を届けるため、まだまだ負けるわけにはいかない。

 【アラカルト】

 ☆生まれ&サイズ 1988年(昭63)8月7日、東京都北区出身の23歳。本名・佐久間貴之。1メートル85、151キロ。

 ☆相撲歴 小学2年から都内の針ケ谷相撲クラブで始め、埼玉栄高に進学。2年時に高校総体団体、国体少年の部などで優勝。日大時代には2年で学生横綱。

 ☆趣味 音楽鑑賞。カラオケも得意で十八番は浜田省吾の「もうひとつの土曜日」。

 ☆唯一の敗戦 入門後は本割で連勝を続けているが、昨年秋場所の序二段優勝決定戦で明大出身の同学年・渡辺(貴乃花部屋)に敗北。

 ☆憧れ 学生時代は朝青龍の大ファンでガッツポーズなども研究。入門後は同じ右四つの白鵬に憧れている。

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