花の2区の主役は…“出岐すぎ”!青学大初の区間賞獲得

[ 2012年1月3日 06:00 ]

2区で競い合う青学大・出岐(左)と駒大・村山

第88回箱根駅伝往路

(1月2日 東京・大手町~芦ノ湖=5区間108キロ)
 できすぎた走りで青学大・出岐が花の2区を駆け抜けた。「今の状態を考えれば120%の力が出せた」。10日前に右のアキレス腱とかかとに痛みが出て最終調整に不安を残した。「ベストの7、8割」と万全ではなかったものの、走りだしてみれば誰よりも強く速かった。

 佐藤(1年)から12位でタスキを受け、福田(2年)につないだ時は3位。抜き去った9人には東海大の村沢も含まれていた。「同じ学年だし、大学を代表するランナー。頭のどこかに意識はありました」。昨年も同じ2区で顔を合わせ、17人抜きした村沢にあっという間に置き去りにされた。

 だが、今回は立場が逆転した。後方から村沢の動きが悪いとみるや「うまく利用しながらついていった」と10キロすぎに前に出た。一度は抜き返されたが、出岐の余力は十分。レース前にはカステラを食べるのが高校時代からの決まり事で、この日も家族が送ってくれた地元長崎の福砂屋カステラを何切れもほおばっていた。“カステラ・ターボ”で最後まで足が鈍ることもなく、1時間7分26秒の快走で青学大初の区間賞も獲得した。

 「箱根の2区は特別。最高の舞台で最高の走りができた」と満足感に浸りつつ、「山も一度は上ってみたい」と来年の5区挑戦にも意欲を見せる。カステラのようにふんわりと優しい笑顔の裏には、負けん気と挑戦心があふれていた。

 ◆出岐 雄大(でき・たけひろ)1990年(平2)4月12日、長崎県長崎市生まれ。長崎北陽台高1年の冬に、県の駅伝大会に助っ人出場。走る楽しさに目覚めてサッカー部から転部した。青学大に進学し、昨年11月の全日本駅伝でも2区を走って3大駅伝で同校初となる区間賞を獲得。1万メートルの自己ベストは29分2秒10。将来的な目標はフルマラソンでの五輪挑戦。大きなレースの時は祖母・板坂美千子さん(75)が送ってくる長崎諏訪神社のお守りを身につける。趣味は読書と音楽鑑賞で好きなアーティストはGLAY。1メートル60、53キロ。

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