宮本、日本新!日本人17年ぶりの決勝進出

[ 2011年7月31日 06:00 ]

男子自由形1500メートル予選で日本新をマークし、決勝進出を果たした宮本は笑顔でガッツポーズ

水泳世界選手権第15日

(7月30日 中国・上海)
 男子1500メートル予選で、初出場の宮本陽輔(20=鹿屋体大)が自身の持つ日本記録を0秒44更新する14分57秒12をマークし、全体7位で決勝進出を果たした。日本人の決勝進出は94年ローマ大会の平野雅人(6位)以来17年ぶり。男子長距離のホープは31日の決勝で上位進出を狙う。

 宮本が序盤から積極的なレースを展開した。前夜、電気シェーバーで頭をツルツルにそり上げ、スタート前には恒例の雄叫びを上げて飛び込むと、隣のレーンの世界歴代2位の記録を持つ孫楊(中国)に食らいついた。「ついていけば決勝に残れると思った。いいペースメーカーになった」。800メートル過ぎからは徐々に離され「しんどくて諦めかけた瞬間は3回くらいあった」。だが「このままだと“決勝に残る”と友人と交わした約束を破ることになる」と自らを鼓舞してペースを維持した。粘った結果は14分57秒12の日本記録で全体7位。世界選手権では日本勢17年ぶりの予選突破だった。

 「日本記録更新はうれしいんですけど、欲を言えばあと2秒欲しかった。何年ぶりとかいう感慨はないです」

 4月の代表選考会で自己ベストを一気に15秒以上更新し、日本人初の15分切りを果たした。1メートル87の長身と長い腕を生かした大きな泳ぎが持ち味。04年アテネ五輪女子800メートル自由形金メダルの柴田亜衣を育てた鹿屋体大の田中孝夫コーチのもとで、1日2回5時間もの泳ぎ込みで力をつけてきた。

 練習では設定タイムを切れないことが多い。1月に一緒に合宿したかつての長距離第一人者の松田丈志には「練習が弱い」とあきれられた。だが、田中コーチが「不思議な男で、練習でできないことが試合でできるんだよ」と首をひねる、秘めたパワーを持っている。

 「正直決勝に残ることが目標だった。今はノープラン。悔いのない泳ぎをしたい」。計りしれない力を持つこの男が、苦戦の続く長距離界を大きく変えるかもしれない。

 ◆宮本 陽輔(みやもと・ようすけ)1990年(平2)8月23日、石川県生まれの20歳。金沢高―鹿屋体大3年。昨年のパンパシフィック選手権13位。4月の代表選考会で14分57秒56の自身初の日本記録をマーク。目標とする選手はグラント・ハケット(オーストラリア)。1メートル87、79キロ。

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2011年7月31日のニュース