白鵬1年ぶり天覧相撲で“恩返し”の完勝発進

[ 2011年1月10日 06:00 ]

白星スタートの白鵬は取り組み後も気合い十分な表情

大相撲初場所初日

(1月9日
両国国技館)
 大鵬(元横綱)に並ぶ史上2位タイの6連覇に挑む横綱・白鵬(25=宮城野部屋)は、天皇、皇后両陛下が観戦される中、鶴竜(25=井筒部屋)を押し出しで破って白星発進。昨年8月に天皇陛下のねぎらいとお祝いの言葉を宮内庁から書簡で伝えられた横綱が、両陛下に“恩返し”の勝利を挙げた。昨年11月の九州場所で14勝を挙げた豊ノ島(27=時津風部屋)は大関・把瑠都(26=尾上部屋)を撃破。他の3大関はいずれも白星スタートだった。 
【取組結果


 1年ぶりの天覧相撲で、気が引き締まらないわけがなかった。両陛下が見守られる中で白鵬は横綱相撲を披露。立ち合いからの流れで鶴竜の右腕を両手でつかみ、次の瞬間、時計回りにぐるっと回って、そのまま押し出し。新年の幕開けを圧勝で飾り、支度部屋で天皇陛下への思いを淡々と述べた。

 「陛下の目の前でいい相撲を取れて良かった。同じ屋根の中でみんなで天皇陛下を迎え入れ、自分の相撲を取れたのが何よりのプレゼントなんじゃないかなと思います」

 昨年8月、日本相撲協会宛てに宮内庁から一通の書簡が届いた。書簡には、不祥事で困難な状況にありながら名古屋場所で全勝優勝を果たした白鵬について、天皇陛下が「今後とも元気に活躍するよう願っています」とという旨を話されたことが記されていた。激動の2010年を振り返り、白鵬は「あのお言葉が1年で一番印象に残っている」と話していた。9月の秋場所以降、書簡の言葉を何度も心に刻みつけては、自分が強くなければならない理由を求めてきた。それだけに「いいところを見せたい」という思いは誰よりも強かった。昨年初場所の初日、せり上がりを忘れる失態を犯した横綱土俵入りも、この日は貫禄十分。完璧な不知火型を披露した。

 10日には自身初となる単独写真集が限定3000部で発売される。女性写真家の緒方秀美さんが大関時代の07年から撮りためたもので白鵬も「懐かしいものもある。そういう意味で時間がたつのはあっという間」と感慨ひとしお。関係者によると既に約1000部の予約が入っているという。また、この日の取組の懸賞は46本と初日史上最多を記録。63連勝した昨年からの“白鵬フィーバー”は、連勝が途絶えても衰え知らずだ。

 2日目は、先場所の優勝決定戦で下し、この日、大関・把瑠都を撃破した豊ノ島と対戦する。「横綱としてしっかり受け止めて、自分の相撲を取れればいい」。白鵬最強時代を強烈に印象づけるだけだ。

 ≪両陛下、相撲協会を激励≫2年連続で天皇、皇后両陛下が大相撲初場所初日を観戦された。解説を務めた放駒理事長によると琴欧洲―安美錦戦の微妙な勝負では天皇陛下が「物言いがつかないのか」と質問されたという。また、放駒理事長は昨年8月に宮内庁から横綱・白鵬への書簡が届いたことに触れ「ありがとうございました。白鵬は感激していました」と感謝の言葉を述べた。さらに相撲協会の数々の問題についても「“大変ですね。頑張ってください”と激励の言葉をいただいた」と話していた。

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2011年1月10日のニュース