37歳5カ月!北桜「十両」返り咲きだ!

[ 2009年5月19日 06:00 ]

<大相撲夏場所9日目>臥牙丸を寄り切りで破る北桜(右)

 大相撲夏場所9日目は18日、両国国技館で行われ、西幕下筆頭の北桜が臥牙丸(ががまる)を寄り切りで下し、4連勝で勝ち越しを決めた。歴代2位の高齢となる37歳5カ月での十両再昇進が濃厚。かつて豪快な塩まきで観客をわかせた男が名古屋場所(7月12日初日、愛知体育館)では十両で“往年の妙技”を披露することになりそうだ。幕内は白鵬と日馬富士が全勝をキープ、朝青龍と稀勢の里が1敗を守った。

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 立ち合いに迷いはなかった。右肩からぶつかった北桜は右を差しこむと同時に、左の前みつを奪う。そのまま、こん身の力でまわしを引きつけながら前に出た。館内の声援にも後押しされて一気のがぶり寄り。黒星発進も4連勝で、勝ち越しを決めた。十両からの陥落力士との兼ね合いもあるが史上2番目の高齢となる37歳5カ月での十両復帰を濃厚とした。
 「自分は相撲を取らしてもらっていると思っている。師匠、後輩力士、応援してくれた人、そして家族に感謝したい」。幕下以下の取組では原則的に土俵で塩をまくことはない。幕内、十両時代には水戸泉(現・錦戸親方)ばりの豪快な塩まきで人気だった。かつての雄姿を知る観客からは大きな歓声を浴びた。“2代目ソルトシェーカー”はしっかり応えた。
 弟・豊桜との兄弟関取で館内をわかせていたが、十両11枚目だった今年初場所で負け越して幕下へ陥落。春場所は年齢的なものもあり負け越しなら引退の可能性もあったが、4勝3敗と徳俵で踏ん張った。番付の関係で昇進は見送られたものの、2場所連続勝ち越しで7度目の復帰にこぎつけそうだ。
 十両からの陥落はそのまま“無給生活”を意味する。わずかな給金はもらえるが、家族のいる北桜にとっては死活問題。しかし、めぐみ夫人(41)は文句1つ言わず苦境の夫を支え、長女のアリサさん(16)は「ドンマイ、ドンマイ。頑張って」と大好きなパパをねぎらった。そんな温かい家族の支えもあり、春場所では大阪市内の宿舎で若い力士に交じって調理場に立ち、野菜を切るなどちゃんこ作りを複雑な心境で手伝った。
 辛酸をなめたベテランは、「あと2番ある。最後までしっかりと取り切ります」とキッパリ。歴代2位の高齢記録に花を添えるつもりだ。

 ◆北桜(きたざくら=本名・向 英俊)1971年(昭46)12月15日、広島市安佐北区生まれの37歳。可部中から北の湖部屋に入門し、87年春場所に初土俵を踏む。98年名古屋で十両昇進。01年名古屋で所要86場所のスロー記録(史上6位)で入幕。その後5度も幕下に陥落したが、闘志あふれる土俵でファンの人気も高い。弟は十両の豊桜。1メートル90、163キロ。家族は、めぐみ夫人と1女。A型。

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2009年5月19日のニュース