死刑執行の当日通知は違法 死刑囚の訴えを退ける 大阪地裁「刑の執行を甘受する義務がある」
死刑執行を当日に通知するのは不服を申し立てることができず違法として、確定死刑囚2人が国に慰謝料など計2200万円の損害賠償と通知当日に執行しないよう求めた訴訟の判決で、大阪地裁は15日、請求を退けた。横田典子裁判長は「死刑囚は現行の運用を含めた刑の執行を甘受する義務がある」と述べた。違法性については判断しなかった。
原告側弁護団によると、死刑執行の通知時期に関する判決は初めてとみられる。植田豊弁護士は判決後の記者会見で、死刑に関する情報について「国も裁判所もひたすら隠し、秘密裏に執行している」と批判し、控訴する方針を明らかにした。
法務省は「国の主張が受け入れられた」とコメントした。
判決などによると、かつては死刑執行の数日前に通知されたが、前日に死刑囚が自殺したことを踏まえ、執行の1~2時間前に知らされる運用に変更されたという。
横田裁判長は判決理由で、通知当日の死刑執行を受け入れる義務がないとする原告側の主張について「確定した死刑判決の取り消しや変更を求めており、許されない」と指摘。現在の運用には、死刑囚の心情の安定や刑事施設の秩序維持などの目的があるとして、一定の合理性を認めた。
死刑制度を巡っては、確定死刑囚や弁護士が絞首刑の残虐性や再審請求中の執行の違法性、執行に関する行政文書不開示の不当性などを主張する訴訟も、大阪地裁でそれぞれ争われている。
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