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梅山修氏 J1新潟、ゴールに向かう意志の強さ見えた充実感ある試合

[ 2023年11月14日 05:15 ]

攻守で存在感を発揮した新潟MF星
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【元アルビ・梅山チェック】FC東京との一戦は、スコアレスではあったものの“サッカーを見た”という充実感のある試合だった。

 攻守の切り替えの速さ、球際の強さ、何よりもゴールに向かう意思の強さというサッカーで最も感動する要素が互いに正面からぶつかり合う、見応えのある試合だったからだろう。

 序盤はパスミスや意図のズレ、タッチラインの外に出てしまうパスなど、新潟らしからぬシーンも見られた。そのほとんどは技術的なものというよりも、速くプレーしようとする焦り、例えばパスかドリブルか、あるいはワンタッチかコントロールかなど、プレーを複数の選択肢から選べていないような印象を受けた。最初に強く来られると、その印象で来ていない相手や、実際にはないプレッシャーを感じてしまうことがある。

 しかし、そこから徐々に自分たちのペースにコントロールできるのが新潟の強みと言っていいだろう。DF千葉、MF高がペースを落ち着かせ、MF星とFW鈴木が前進するテンポを発生させていた。特にこの日はいつもの最前線ではなく、相手のDFとMFの間に下りてプレーした鈴木の存在は大きかった。ボールを引き出せば前進の起点となり、そこにボールが出なくても相手を集結させることで、前線の谷口やサイドの太田、松田が1対1で仕掛ける状態をつくり出すなど、90分を通して攻撃の起点になっていた。その分、高い決定力を誇る彼がペナルティーエリア内でシュートを打つ場面が少なくなってしまったことは否めない。試合を通してクロスを送り込むシーンは少なくなかったので、得点は近くにあると言えるだろう。

 後半、より相手陣内でのプレーと決定機が増えたのは、2度の積極的な交代策が効果的だったから。23分にタッチライン際でのプレーを強みとする太田、松田からライン間を自由に動く三戸と小見を同時に投入し、34分にはそのサイドをさらに生かし、背後を突くためMF秋山とFW長倉を投入して、相手が慣れる前に次々と変化を繰り出していく采配も見事だった。

 今季は残り2試合。横浜は攻撃的で、C大阪は4―4―2のブロックが強固なチーム。勝敗は重要であり、選手としてプライドを懸けた戦いでもあるが、それ以上に自分たちの信じるサッカーで立ち向かうその姿を何よりも応援したい。

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2023年11月14日のニュース