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VARに頼りすぎては、主審の威厳がなくなる

[ 2021年7月5日 08:30 ]

柏に敗れ、肩を落とすGK谷(左から2人目)ら湘南イレブン
Photo By 共同

 【大西純一の真相・深層】6月27日の湘南対柏戦、柏が4―2で逆転勝ちしたが、VARについて考えさせられる試合だった。

 簡単に試合を振り返ると、前半18分に町野のゴールで湘南が先制。前半終了直前にも町野が縦パスに反応してGKと1対1になって決めたが主審がVARで確認してオフサイド、ノーゴールで1-0で前半を折り返した。ここまではそれほど違和感はなかった。後半5分に湘南ゴール前の攻防で、VARの末に湘南のオリベイラがハンドの反則を取られて柏にPKが与えられて同点。12分に湘南が攻めてタリクがゴールを決めたが、VARでゴールは認められなかった。33分に湘南がウェリントンのゴールで2-1と勝ち越し。そして、39分に町野が決めたがまたまたVARで確認の上ノーゴール。何度もVARで確認したため、9分間もの長いアディショナルタイムとなり、その間に3点決めた柏が逆転勝ちした。

 VARは「はっきりとした明白な間違い」をなくすためのシステムだ。得点かどうか、PKかどうか、退場かどうか、警告の人間違いなどが対象で、専門家が映像で何度も確認するのだから、誤審は少なくなる。しかし、元々サッカーは主審が目で見て判定するところが魅力のひとつ。マラドーナの神の手ゴールを推奨するものではないが、テクノロジーばかりではサッカーから暖かみがなくなる。

 大相撲にも物言いがついたときに映像で確認するシステムがある。プロ野球にもテニスにも映像を使って判定を確認するシステムがある。しかし、大相撲で取り組みごとに映像で確認したり、野球で毎度毎度アウトかセーフか映像で確認していたらどうだろう。サッカーも毎度毎度VARで確認したのでは、面白さが半減する。

 審判が判定に迷うことが多いからか、選手の勢いに押されてしまうのか、VARで確認してしてばかりでは試合がつまらなくなる。審判は自分の目にもっと自信を持ち、堂々と笛を吹かないと威厳がなくなる。審判がどれだけ大変か、どれだけ努力しているか理解しているつもりだ。湘南対柏戦のように微妙な判定となるシーンが続出したのは不運だったかもしれないが、VARはあくまでも補助的なもの。せっかくのVARをどういかすかも考えてほしい。

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2021年7月5日のニュース