カズ　54歳バースデーに“開幕宣言”　J1最年長ゴールの誓い「明るい灯を与えられたら…」

54歳の誕生日を迎え、タキシード姿でポーズを決める横浜FCのカズ（C）YOKOHAMA　FC
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　明治安田生命Jリーグは26日、29年目のシーズンが開幕する。唯一、J元年の93年からピッチに立つ横浜FCのFW三浦知良は26日が54歳の誕生日。新型コロナウイルスの影響で恒例の「誕生会」はオンラインによる新様式となったが、タキシード姿で決めたカズは今季もジーコの持つJ1最年長得点（41歳3カ月12日）の更新に照準を合わせた。横浜FCは27日、アウェーの札幌戦で今季がスタートする。

　ベルベットの蝶ネクタイにネービーのタキシード姿で決めた。カズは「大人なんでね、エレガントにセクシーにね」と笑った。54歳になっても、初代MVPに輝き、真っ赤なスーツで風船から飛び出た93年とサイズは変わらない。誕生日に合わせ、制作するスーツの色も14年から白→赤→青→ピンク→黄→白と変遷を遂げ、今年は大人の色気を醸し出した。

　2月26日。カズは「寅さん、桑田佳祐さんも誕生日が同じなんですよ」と切り出した。例年、多くの報道陣がケーキ＆バラの花束で祝福するのが恒例だが、今年はコロナ禍でオンラインによる新様式に。だがそこは希代のスーパースター。サプライズの動画を用意。桑田佳祐のモノマネで自らハッピーバースデーを歌い切った。

　オフには「寅さん」の舞台、東京・柴又を聖地巡礼した。トランクを持ち、ハットをかぶり、寅さんになりきって矢切の渡しの舟にも乗った。「地元の人から寅さんかと思ったらカズさんじゃないですか？って言われてね。うれしかった」。昨季から映画「男はつらいよ」観賞は最高の気分転換だ。人間味があって自由で誰からも愛される…、そんな寅さんに自身を重ねるのだ。

　本職も順調そのもの。昨季はでん部痛で出遅れたが、今季はキャンプから全ての練習試合に出場。「得点はなかったけど納得いくプレーはあった。決定機にも絡めたし、味方との距離間もいい」。向上心は尽きず、試合後には良い点、悪い点と8～10シーンを映像化し、コーチの意見に耳を傾ける。オフ・ザ・ボールでのポジショニング、カズの動きによる周囲の反応を評価され「勉強になってます」と話した。

　いよいよ27日の札幌戦からプロ36年目のシーズンが始まる。新型コロナの影響は続き、厳しいシーズンが予想されるが「こういう時こそ今まで以上に責任を持ち、明るい灯を与えられたら…。ゴールするところを見てもらいたい」。得点すればジーコの持つJ1最年長得点も大幅更新となる。誰もが待っている。54歳のカズダンスを、セクシーでエレガントな大人のステップを。

　【カズの今季狙える主なJ記録】
　☆J1最年長出場　開幕戦の27日札幌戦に出場すれば54歳1日で自身の記録（53歳9カ月23日）を更新。J1開幕戦に出場なら05年（当時神戸）以来16年ぶりとなる。
　☆J1最年長得点　得点を挙げれば94年に鹿島MFジーコが記録した41歳3カ月12日を大きく更新。カズはJ2時代の17年3月の群馬戦で決めたJリーグ最年長得点（50歳14日）がギネス記録に認定されている。
　☆J29年連続シーズン出場　93年のJ発足から今季もプレーするのはカズとJ3沼津のMF伊東輝悦（46）だけ。伊東は93、17、18、20年が不出場で、J連続シーズン出場を継続しているのはカズだけだ。