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佐々木則夫氏 ヤングなでしこ初Vを祝福「素晴らしいチーム」

[ 2018年8月25日 11:59 ]

優勝に喜びを爆発させるU―20なでしこジャパンのイレブン(AP)
Photo By AP

 U−20女子ワールドカップ決勝で日本がスペインを3−1で破って初優勝。2011年の女子W杯ドイツ大会でA代表のなでしこジャパン、14年にU−17W杯で優勝したのに続いて世界で初めて全世代で世界制覇を達成した。なでしこジャパンを優勝に導いた佐々木則夫氏が特別寄稿した。

 チームとしてしっかりしていた。守備は南を中心にまとまっていて、大会を通じて3失点しかしていない。攻撃も2トップを中心とした攻撃陣の連係もよかった。遠めからのシュートを意識し、シュートレンジを広げて攻撃の糸口をつくっていた。前線からの守備の連係など課題もあったが、池田監督がうまく選手を包み込み、素晴らしいチームになっていた。

 試合の立ち上がりはスペインが自信を持って試合に入り、主導権を握った感じだったが、日本がよく耐えながらリズムを変えていった。これが勝因。先制点は宮沢が狙い通りのミドルシュートで、後半早々に2トップの連係から宝田がGKと1対1になり、落着いて決めて2点目が取れたことも大きかった。

 日本は1次リーグではスペイン、米国と同組で、スペインには0−1で負けるなど厳しい戦いだった。しかし、1試合ごとに力を付けて、決勝トーナメントではドイツ、イングランドを破り、決勝では見事にスペインにリベンジして優勝した。

 この世代はちょうどなでしこジャパンが女子W杯ドイツ大会で優勝したときに小学校高学年で、その影響を受けている。U−17ではまだ体ができていない分、小刻みな動きなどでは日本人が勝っており、世界で勝つチャンスがある。しかし世界が組織的なプレーに進化する中、U−20では体も大人に近づき、厳しい勝負になると考えられてきた中で優勝したことは大きい。まだまだ世界のトップに立てる力があることを示したと言えるからだ。

 私も実はU−20W杯に2度出場した。08年チリ大会と10年のドイツ大会だ。チリ大会では1次リーグを3戦全勝で突破したが、準々決勝で北朝鮮に1−2で敗れた。ドイツ大会は1カ月前にドイツ、米国といい試合をして優勝候補に挙げられたが、本大会では1勝1分け1敗で1次リーグ敗退に終わった。年齢的にも多感で、自分の持っているものをすべて出し切れないことがある。そういう意味でもこのチームは持っているものを出し切り、素晴らしい。

 私は日本人女性はサッカーに適していると考えている。目配り、気配り、気づき、連係した守備や粘り強さ、ハードワーク、献身性などがある。パワーシュートは中々打てなくてもカーブをかけて狙い澄ましたシュートがある。アタッキングゾーンの発想も豊かでいいものを持っている。一時期若返りの難しさを指摘されていたが、私はこの優勝で「大丈夫」と結論づけてもいいと思う。(元なでしこジャパン監督)

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2018年8月25日のニュース