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ハリルJAPAN タイ戦も不吉…“中東の笛”主審はイラン人

[ 2016年9月3日 05:30 ]

<日本・UAE>後半、ジャシム主審(左)に猛抗議するハリルホジッチ監督

W杯アジア最終予選B組 日本―タイ

(9月6日 ラジャマンガラスタジアム)
 W杯アジア最終予選初戦のUAE戦から一夜明けた日本代表は2日、さいたま市内で練習を行い、その後第2戦のタイ戦(6日)が行われる開催地バンコクに移動。同日夜に到着した。UAE戦はカタール人主審の不可解な判定に苦しみ逆転負け。黒星発進で窮地に立たされる中、タイ戦の主審も同じ中東のイラン人が務めることが判明した。6大会連続のW杯出場に向け2戦連続で“中東の笛”が待ち受ける。

 痛恨の黒星発進から一夜明け、ハリルホジッチ監督がチームのネジを巻き直した。練習の冒頭に選手、スタッフを集めて「残り試合に勝てば(勝ち点を)27ポイント積み上げられる。気持ちを切り替えてタイに行こう」とチームを鼓舞。「審判のこともあり、最終予選は簡単ではないが、フットボールではこういうこともある。日本人は正直すぎる。審判を分かった上でプレーしないといけない」と続けた。

 改めて判定に対する注意を促したのには理由がある。タイ戦を担当する予定の審判は、イラン人のファガニ主審であることが判明。38歳の公務員で、リオデジャネイロ五輪決勝のブラジル―ドイツ戦で笛を吹くなど経験豊富だが、日本代表にとっては1日のUAE戦でカタール人主審の不可解な判定に泣いた直後だけに2戦連続の“中東の笛”を警戒したくなるところ。実はファガニ主審は日本が1―2で敗れた13年3月26日のW杯ブラジル大会アジア最終予選ヨルダン戦(アンマン)でも笛を吹いており、縁起の悪い審判でもある。UAE戦では最後まで判定に苦しめられたが、審判の癖や傾向をつかむことは国際大会を勝ち抜く上で必須事項。指揮官はこの日、試合序盤で主審の癖をつかむことを選手に求めた。

 日本代表は当初、リカバリーのみの軽めの練習が予定されていたが、急きょ変更。UAE戦の先発以外のメンバーにゲーム形式中心の約1時間半のハードメニューを課した。日本協会にはファンからの電話が殺到。70件近くの大半がUAE戦の判定への不満をぶちまける内容だったが、中には選手、監督への叱咤(しった)激励もあったという。

 86年W杯以降、アジア最終予選の初戦で敗れたチームが本大会切符を獲得したことはない。W杯出場確率0%のデータを覆すため、UAE戦と同じ轍(てつ)を踏むことは許されない。

 ▼W杯アジア最終予選の審判割り当て アジアサッカー連盟が割り当て、同組に入っていない国から選ぶ。今予選の日本の場合は同じB組のオーストラリア、日本、サウジアラビア、UAE、イラク、タイの審判が担当となることはない。

 ▼13年3月26日ヨルダン戦VTR 引き分け以上でW杯出場が決まったが、1―2で敗れた。本田、長友がケガで欠く中、前半ロスタイムにCKから先制を許すと、後半15分にはカウンターで吉田が振り切られて失点した。後半24分に香川のゴールで1点を返したが、後半26分には遠藤がPKを失敗。日本の選手はスタンドから再三、レーザーポインターの光線を浴びせられてプレーを妨害された。日本協会は試合後、レーザー光線と、ヨルダン選手がザッケローニ監督に首を切るジェスチャーをした挑発行為に関して抗議文を提出した。

 ▼中東の笛 国際試合において、審判が中東のアラブ諸国に極めて有利となる判定を下すこと。クウェート王族がアジア連盟を事実上支配していたハンドボールで特に顕著で、07年に国際問題に発展。北京五輪アジア予選では中東びいきの判定を巡るトラブルが相次ぎ、日本と韓国の抗議によって国際ハンドボール連盟は理事会で男女のアジア予選をやり直しとする前代未聞の決定を下した。

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2016年9月3日のニュース