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U23代表DF室屋「だんじり」で築いたバランス感覚

[ 2016年7月27日 10:17 ]

闘志をむき出しにした力強いプレーが真骨頂のリオ五輪日本代表DF室屋

 闘志をむき出しにした力強いプレーが真骨頂のリオ五輪日本代表DF室屋。その原点は、生まれ故郷の熊取町(大阪府泉南郡)が誇るだんじり祭りにあった。

 「小さいときは好きでしたよ」。そう振り返るのは、室屋が明大1年の終わり頃に上京し、食事面などでサポートしてきた母・律子さん。5歳から始めたサッカーはもちろん、小さい頃の室屋は、約160年の伝統を持つといわれる「熊取だんじり祭」にも夢中だった。

 お祭りの最大の見せ場は、4トンを超えるだんじりを走りながら直角に向きを変える高速やり回し。大迫力な一方で危険も決して少なくないが、律子さんによれば「小学生以下の子とかは、危ないから保護者の人がどけたりするんですけど、成はもう俺はいけるって。こけてずるむけになっても放さず最後まで食らいついてました」と室屋はひるむどころか、むしろ果敢に立ち向かっていったという。

 今もプレーの随所に見られる負けん気の強さを引き出した格好のだんじりだが、意外にもスポーツ選手に重要な反射神経にも好影響を与えていた。そう証言するのは、Jクラブ他、海外でも活躍してきたフィジカルコーチのパイオニア的存在の池田誠剛氏。筋肉にはそもそも、動作時に作動する主働筋と、その逆の働きをする拮抗(きっこう)筋があり、だんじりは「力のいれどころ、(両筋肉の)コーディネート能力が高くなる。小さい頃にやると筋肉が覚える」と言う。決して当たり負けしない高いバランス感覚を誇る室屋。その能力は小さい頃におのずと養われていたようだ。

 2月に左第5中足骨を骨折しながら、見事に復活してメンバー入りを果たした不屈の右サイドバック。本大会は、自らの礎を築いた地元・熊取の期待も背負って臨む。

 ◆室屋 成(むろや・せい)1994年(平6)4月5日、大阪府出身の22歳。小学生時代は、同じ五輪代表のFW南野とチームメートだった。10年に青森山田高に入学し11年U―17W杯にも出場。13年に明大に進学し、15年にFC東京の特別指定選手として登録。リオ五輪アジア最終予選で優勝に貢献後、明大サッカー部を退部し今季からFC東京とプロ契約。1メートル74、65キロ。利き足は右。

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2016年7月27日のニュース