×

長友の恩師、安定捨てJの世界へ…盛岡・神川監督の挑戦に期待

[ 2016年1月16日 14:40 ]

2010年1月、全日本大学サッカー選手権を制し、胴上げされる明大・神川監督

 明大を強豪に押し上げた神川明彦監督(49)が今季からJ3盛岡の監督に就任する。94年から明大コーチを務め、04年に監督に昇格。07年に43年ぶりに関東リーグで優勝すると、09年には51年ぶりにインカレを制した。昨季は全日本大学選抜を率い、ユニバーシアード3位。これまでは明大職員として指導者のキャリアを積んできたが、安定を捨ててプロの世界に飛び込む。

 とにかく熱かった。明大OBの記者は97~00年に指導を受けたが、1部と2部を行ったり来たりの当時は徹夜麻雀明けや二日酔いで練習する選手も珍しくなかった時代。神川コーチは気持ちの入っていない選手を練習場から締め出すなど選手と衝突することも多かった。思い返せば、学生に本気でぶつかっていたからこその指導方針だった。何事にも妥協を許さない姿勢が持ち味で、監督就任後は午前6時からの早朝練習を取り入れるなど改革を断行して結果を出した。

 ピッチ外の意外な功績もある。熱い指導者だけに、練習や試合で見せる表情や動作には独特のものがあり、17年前、部員の飲み会では、誰彼構わず神川監督の物まねをするのが恒例だった。記者は数年前、8期後輩に当たる明大OBの長友(インテル・ミラノ)の前で、唐突に神川監督の物まねをしたことがある。クオリティーの低さもあり、意味が通じるか半信半疑だったが、日本代表不動の左サイドバックは笑って、記者と同等、もしくはそれ以下のクオリティーの物まねを返してくれた。伝統は脈々と受け継がれていたのである。

 神川監督が明大を去ることになり、これから卒業する明大OBには物まねが通じなくなるかもしれない。世代を超えた“キラーコンテンツ”を失うことは寂しい限りだが、神川監督がプロの世界で結果を出し続けて日本屈指の名監督になれば、物まねは日本中で通用する“笑い”になる可能性もある。神川監督の成功を祈りつつ、鏡の前でクオリティーを上げる努力だけは怠らずにいたい。 (木本 新也)

続きを表示

2016年1月16日のニュース