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星稜 不在監督の言葉胸に底力初V!両軍6発110分の死闘制す

[ 2015年1月13日 05:30 ]

<星稜・前橋育英>延長戦の末に初優勝、トロフィーを掲げ歓喜の星稜イレブン

 悲願達成で新たな歴史を築いた。第93回全国高校サッカー選手権決勝が12日に埼玉スタジアムで行われ、前回準優勝の星稜(石川)がFW森山泰希(3年)の2ゴールなどで延長の末に前橋育英(群馬)を4―2で下して初優勝した。大会前の交通事故の影響で指揮を執れなかった河崎護監督(55)から試合直前に届いたメッセージを力に変え、石川県勢として初めての日本一を達成した。

【試合結果 トーナメント表】

 病院のベッドから届いた恩師のエール。星稜イレブンは全身全霊のプレーで応え、日本一を手にした。入場直前のロッカールーム。木原監督代行が、愛知県内で入院中の河崎監督から受け取ったメールを読み上げた。

 「選手一人一人の成長を感じている。(キャプテンの)鈴木を中心に、日本一を目指して団結している。一人一人の役割をしっかりさせて、この試合に臨め。経験してきたことを生かせ」

 木原監督代行の目には涙があふれ、メッセージを完全には伝えられなかった。それでも大会開幕前の昨年12月26日に自動車事故で腹部を負傷し、病床にある指揮官の気持ちは確かに伝わった。結果で示したのが森山だ。

 「監督の言葉を聞いているうちに、つらかったこととかを思い出して涙が出た」。前回決勝。2点リードを守れず残り3分から追いつかれ、延長の末に敗れた。ゴールを決め、後半途中までピッチに立ちながらベンチで終戦を見届けた森山は「最後までピッチに立てるように」と誓って1年間、体力向上に努めてきた。夏場は1キロ走5本の後、300メートルの全力ダッシュ。昨年の悔しさを思い出して乗り越えてきた。その成果が延長前半5分の決勝ゴールと延長後半ロスタイムのダメ押しにつながった。

 精神面もたくましさを増した。逆転を許した後半10分、チームメートに「このまま終わったら駄目だ。去年と一緒。まだ時間はある。日本一になるのは俺たちだ」と声を掛けて鼓舞。河崎監督の「経験を生かせ」という言葉を、先頭に立ってピッチで体現してみせた。

 河崎監督が入院した直 後、チームはバラバラ になりかけた。先発組と控え組の温度差。そこを引き締めたのがDF鈴木だった。「一つにならないと優勝できない」。主将の活で一丸となった。それは「チームのためにやれ」という河崎監督の教えでもあった。試合前に流した涙は110分の死闘を戦い終えた後、うれし涙に変わっていた。

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