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新潟 痛すぎる田中亜土夢の穴…「この時期は動きようがない」

[ 2015年1月13日 13:52 ]

新潟を退団した田中亜土夢

 J1新潟のMF田中亜土夢(27)が電撃退団した。クラブは12日、本人からの申し出により、契約満了に伴う退団が決まったと発表。今季の所属先は未定で、昨季前から模索していた海外移籍に向け、退路を断つ形で10年間、所属した愛着あるクラブを去る決断をした。

 田中亜は、昨季前のオフに海外挑戦を目指してドイツ2部のコトブスに練習参加した。1年前にかなわなかった夢を、退路を断って実現させる決断だった。

 神田勝夫強化部長はこの日、「シーズン終了後に海外挑戦の意思表示があった。海外にチャレンジしたい思いが強く、その気持ちが揺らがなかったのでしょう。(移籍先の)チームは決まっていないが、(チームに迷惑をかけないために)始動前に退団発表を選んだようだ」と説明した。

 田中亜とは近年、1年契約を結んでいたことも明かした。昨夏にクラブ側は今季からの複数年契約を提示したが、回答が得られなかったという。新たな選手獲得については「この時期は(選手補強の)動きようがない。痛い」とチームの戦力への影響も口にした。

 新潟市出身の田中亜は、前橋育英高3年だった05年に特別指定選手として新潟に加入し、昨季まで10年間プレーした。昨季はチームでは日本人選手初の背番号10をつけ、選手会長も務めた。主力選手としての活躍に加え、新潟出身選手として、ピッチ外での活動にも参加してきた。

 サンタクロースに扮してサポーター宅にプレゼントを届ける「アトムサンタ」を12年まで務めたほか、若いサポーターの来場を増やそうと13年からはホームゲームに若者を招待する「アトミーニョシート」を開設。誰からも愛される存在として、同じ新潟出身の本間勲(J2栃木)に次ぐミスター・アルビレックス後継者と期待されていた。

 神田強化部長は「年齢的に、最後のチャンスに懸けたかったんだと思う」と田中亜の気持ちを代弁し、背番号10番については「できれば(他の選手で)埋めたい」と話した。

 どこよりも居心地が良いはずのクラブを、あえて去る決断をした27歳。10番をつける選手は変わっても、亜土夢の記憶は新潟から消えない。

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2015年1月13日のニュース