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レアル、ハメロド“予定外”加入で中盤余剰…崩壊の悪夢再び?

[ 2014年8月19日 10:00 ]

今季レアル・マドリード新加入のハメス・ロドリゲス(右)(AP)

23日開幕 リーガ・エスパニョーラ

 W杯ブラジル大会から約1カ月。欧州主要リーグが続々と開幕する中、昨季10度目の欧州CL優勝を果たしたレアル・マドリードは今オフも大型補強を行った。W杯得点王のコロンビア代表MFハメス・ロドリゲス(23)、W杯優勝のドイツ代表MFトニ・クロース(24)らが加入。ただし“予定外”だったロドリゲスの獲得は中盤のスター選手余剰を招き、銀河系軍団の崩壊につながる危険性をはらんでいる。
【14-15全日程】

 宿敵アトレチコ・マドリードと対戦する19日のスペインスーパー杯第1戦、23日のリーグ開幕を前に、レアルのアンチェロッティ監督が注目の発言を行った。16日の会見で「我々の移籍期間は終了した」とした上で、アルゼンチン代表MFディマリアとドイツ代表MFケディラについて「2人ともレアルの選手だ」と残留を明言した。

 指揮官が両選手に言及した理由は、移籍の噂を打ち消すためだ。今オフにW杯で活躍したロドリゲスとクロースが加入し、MFは8人もいる。しかも全員が各国代表の主力クラス。中盤の先発枠は3つしかないため、昨季の欧州CL優勝に大きく貢献したディマリアでさえレギュラーから外れる公算が大きく、ケディラと共に移籍の可能性が高いと報じられていた。

 スペイン紙によると、異常ともいえる中盤の人員過多を招いた元凶はペレス会長だ。7月18日付のムンド・デポルティーボ紙が「会長が気まぐれでロドリゲスを獲得しようとしている」と報じたように、トップダウンによる“予定外”の補強だった。ペレス会長は00~06年の第1次政権でフィーゴ、ジダン、ロナウド、ベッカムらを次々と獲得。“銀河系”と呼ばれるスター選手を金に糸目をつけずに集める戦略で、放送権やスポンサー収入の大幅増につなげた。09年に会長に復帰するとC・ロナウド、ベンゼマ、カカー、ベイルらを獲得して新銀河系軍団を形成。W杯で得点王を獲得して新たなスターとなったロドリゲスは会長にとってまさに“金の卵”で、C・ロナウド、ベイルに次ぐクラブ史上3位の移籍金8000万ユーロ(約109億円)を投じた。

 “銀河系補強”の失敗例がある。03~04年シーズンはベッカムを獲得した一方、中盤で守備の要だったマケレレを放出し、攻守のバランスを欠いたチームはリーグ4位に低迷して無冠に終わった。ディマリア、ケディラを放出すれば同じ轍(てつ)を踏む危険性がある。またアンチェロッティ監督は「このチームに11人のレギュラーという概念は存在しない」とローテーション制を敷く考えだが、先発落ちした選手が不満分子となるリスクもある。指揮官がスター軍団をどう束ねるのか。19日のAマドリード戦で中盤に誰を起用するのか。今季のレアルはプレー以外も見どころ満載だ。

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